平民出身の『戦いの天才』のオレは、貴族世界で成り上がる

堀川之犬之助

第1話 貴族地区は可愛い子が多い


トンネルを抜けると、車窓の外には、貴族地区の発達した街並みが広がった。

ノーティーは、長椅子の端で、大人しく座ることしかできなかった。


ここは、魔法の世界── ベルディン王国

人類は、それぞれ一つの【固有魔法】を有している。

そんな世界で、ノーティー、16歳 は、『戦いの天才』と称された男だった。

この国は、大きく2つの地域に分かれている──  貴族地区と平民地区

ノーティは、平民地区出身で、学校に通ったことはなく、戦いの日々を送っていた。

そして、今日から、貴族地域にある、『魔法学校』に転入することになっていた。

電車で、魔法学校に向かっている。


ノーティーは、珍しく、緊張していた。

貴族地区という、人生で経験したことない空間に、慣れなかったからだ。

そのため、普通電車の長椅子の端に大人しく座っていた。

不思議なことに、ノーティーの隣には座ってこない。

ノーティーとしても、貴族の近くに座りたくなかったので、困ったことはなかった。


ただ、自分の隣だけ空いていると、どうしても気が気ではなかった。

ノーティーの身長は176センチであり、高身長とまでは言えない。

そのうえ、股を売春婦のように開いて座っているわけでなく、スペース的には余裕で座れる。

── それでも、誰も座ってこない。

ノーティから溢れる、異質な威圧感から、自然と人々は隣に座るのを避けていた。

ノーティーは、自身の威圧感が原因とは気がつかず、他のことの心配をしていた。

── 匂いだ──

『臭い』と言われたことはなかったが、あまりにも隣に座らないと、自分の体臭を疑いたくなるのは自然なことであった。

今まで言われてこなかったのは、本当に臭すぎて、言えなかったのではないか、と腕で汗を拭くふりをして、脇の匂いを嗅いだ。

( やはり、自分で自分の匂いはわからない。オレって臭いのかな……)

ただ、なすすべもなく、目的地に着くまで、大人しく、座ることしかできなかった。

(変な貴族に絡まれたくないな……)


とある駅に着くと、電車内のほとんどの人のが、一定の方向を見始めた。

ノーティーも気になって見てみると、視線の先には、ピンク色のショートヘアの女の子が乗車してきた。

ノーティも今まで見たことない、圧倒的な美貌に釘付けになった。

(── おっぱいが── でかいぞ!!── )

美少女は、 空いているノーティーの隣の席を見つけて、なんの躊躇もなく座ってきた。

(ラッキーーーー!!)

自分の体臭が臭くなかった喜びよりも、右隣に巨乳の女の子がいる喜びが勝った。

周りの男たちは、悔しい顔をしていた。

ノーティーは姿勢を正し、美少女を直視しないようにしながらも、横目でチラチラと観察をした。

(肌が白くて人形みたいだな── 本当に存在するんだな)

ノーティーがいた地域には、若い女は殆どいなかった。

仮に、いたとしても、目の前の美少女とは月とスッポンであった。

初めて目にする、美貌に心臓の鼓動が戦闘時より早く動き、少し背中が汗ばんでいた。

ノーティーは、目的地まで、観察を楽しむことにした。

次の駅に到着し、ピンク髪の子の隣の人が電車を降りて行った。

それをみるや否や、周りの席の人らは一斉に腰を浮かせ、空いた席の、イス取りゲームの臨戦態勢に入った。

そんな人々の努力も、一瞬で水の泡となった。

金髪のロングヘアーの女の子が、その席に座ってしまったのだ。

胸は少し小さく、細身でハッキリとした顔立ちをしている。

可愛いというよりは、綺麗という言葉がふさわしい人物であった。

青い瞳は宝石のように輝いている。

結んでない長い髪の毛も、彼女の美しさを引き立てていた。

「すご!! 奇跡じゃん!!」

ピンク髪の美少女は、隣の席に座ってきた美少女に声をかけた。

「私も、電車の窓からいるの見てびっくりした。買い物に行ってたんだね!」

(── 二人は知り合いなのか── )

その後、二人は、談笑を楽しんでいた。

ノーティーは、そんな二人の会話を聞いていた。

再び電車が走り出してすぐ、隣の車両から、酔っ払いがやってきた。

中年親父で、前日に来ていたであろうスーツがヨレヨレである。

車内が、一気にアルコールの匂いが充満した

そして、酔っ払いは、車内で一際目立つ、2人の美少女に声をかけた。

「おーーい! そこのねーちゃん達── おいらと遊ばない?」

「── すいません。今から学校なので── 」

2人は問題が大きくならないように丁寧に答えた。

ただ、優しさは逆効果であった。

酔っ払いの行動は、エスカレートした。

「がっこおーーー? おいらがおしえたる! ほれ!! 火出せるんだぜ!」

そういうと、酔っ払いは、手のひらから炎を出して2人に近づけた。

「── や、やめてください!!」

二人は、ただ背中を反らせることしか出来なかった。

(おいおい── 誰も助けないのかよ……)

ノーティーは、二人を助けようと思った。

ただ、問題を犯せば、高確率で、ノーティーの方が悪いことにされる。

貴族地区と平民地区とには大きな格差が存在している。

平民地区出身は、基本的に、貴族地区出身の者に逆らうことは許されないのだ。

たとえどんなに、正しいことであったとしても。

(── どうしよう── )

ただ、ノーティーは、目の前で、困っている人を放っておくことはできなかった。

普段のノーティなら、一瞬で、酔っ払いを血祭りにあげているところであった。

しかし、ここは── 貴族地区内

転入の時間に間に合わなくなるのは避ける必要があった。

ノーティーにできる選択肢は限られていた。

それでも── 助けないという選択肢はなかった。

「── 嫌がっているじゃないですか! やめたらどうですか?」

ノーティーは、少し丁寧に、酔っ払いに話しかけた。

「あ?? 誰だよ!── おいらとやるのか??」

酔っ払いは注意で収まることはなかった。

(らちあかねーな。仕方ない……)

ノーティーは、静かに、殺気を放った。

本気で殺す殺気を。

酔っ払いは、向けられた殺気に足が震え、人生で初めて、殺されるかもしれないという恐怖を感じた。

「── わ、悪かった……。もう── しない……」

酔っ払いは急いで、次の車両に逃げていった。

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」

二人の美少女は、ノーティーにお礼を言った。

「いえいえ」

ノーティーは軽く返事をした。

ノーティーは、そのまま車内に残りたかった。

しかし、平民地区出身とバレることは避けたかった。

酔っ払いが、仲間を引き連れて仕返しに来る可能性も考慮していた。

(美少女と離れるのは惜しいが、仕方ねーか── )

ゆっくりと、立ち上がり、酔っ払いとは反対方向の車両に移動しようと、歩き出したところ、急ブレーキをかけられた。

『きぃーーーーががが』

ノーティーは、地面から強い衝撃によって、おもいっきりバランスを崩し、膝まづいてしまった。

ノーティーは、咄嗟のことで、反射的に掴めるものを掴んだ。

気がつけば、ノーティーの両手は、ピンク髪の美少女の巨乳をつかんでいた。





── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ── ──


という感じで、新作の連載開始しました。

よろしくお願い致します。


(1話目からおっぱい触って大丈夫なんだろうか……)














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