★自縛
『今のお客様…ロープを出してきたんです…』
まだ部屋に入って20分ほどのコンパニオンさんからのアウトコール。
「ロープ…ですか?」
『SMで使う赤いロープです』
あぁ、わかるわかる。
『縛らせてくれ。って言い出して。そういうの怖いんで断ったら、帰っていいって言われました…料金は貰ってますので…』
「了解しました」
コンパニオンさんの電話を切ったと同時にお客様専用の電話が鳴りました。
『もしもし。さっきお宅で女の子紹介してもらったんだけど』
番号を見ると、例のお客様。
『あの子、ダメだわ。性格悪すぎるし、注文多いし。あんな子初めてだわ』
だいぶお怒りのご様子。
でもコンパニオンさんに聞いている件を確認しなければいけません。
「はい。先程コンパニオンから連絡がございまして。お客様、ロープを使おうとされたとのことですが、当店はSM店ではありませんので、それはお断りさせていただいてるんです」
『でも今まで断られた事なんてないけど?』
「コンパニオンによって事情もありますので、身体に跡が残ると困るコンパニオンもおりますし、縛る事が出来ないというのは、コンパニオンの非にはならないので…」
『そうなん?…まぁ、服も脱いだから払うもんは払ったけどさ』
「恐れ入りますm(_ _;)m」
『でもあの子は合わん!』
「縛られるのを拒否した事と、他には何かございましたか?」
『性格が悪いから、とにかく次は違う子にするわ』
「はい。またお待ちしております(^o^;)」
電話を切ってからお客様の履歴を調べます。
こういう場合は、このお客様についた他のコンパニオンさんの意見も聞いてみます。
あまりに無理強いするようなお客様なら出禁にする事も…。
あ、Mさんに着いた事あるみたい!
丁度待機に戻ってきていたMさんに早速聞いてみました。
「Mさん。▲さんってお客様覚えてます?」
「▲さん…」
「ロープの…」
「あ!あぁ覚えてるよ」
「どんなお客様でした?」
「どんな…気のいいおっちゃん。縛るのも、単に亀甲縛りして眺めたいだけみたいよ。キツイって言ったら緩めてくれるし」
「縛ってから怖い事するとか、いらん事するとかじゃなく?」
「うん。あ、でも外見がめちゃめちゃ派手。身体も大きいし、そんな人にいきなりロープ持って来られたら怖いって感じる人もおるかも…」
なるほど…恐怖感、感じちゃったか…
でもMさんの話しによると、縛ってから無理強いするわけじゃないし、亀甲縛りだと両手両足は自由だし。
取り敢えず、お客様データに
『縛るのが好きなので、予めコンパニオンさんに伝えて、了承いただける方のみ、案内してください。プレイは問題無し』
と書き込みました。
これで良し!
事前に知っておけば、お客様もコンパニオンさんも気持ち良く遊べるでしょう。
「リョウコさんなら『私が縛ってあげるわ』って言うの?」
笑いながら言うMさん。
「違いますよ~!
『あ、自分で縛ろうか?』
です!」
そう。
私、行きつけの変態バーがありまして。
そこで色々教えてもらい…亀甲縛り、出来るんです。
自分で自分を縛る、所謂『自縛』ですが。
その変態バーのお話もいつかかきたいと思います!
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