★遅刻魔Sちゃん
この業界、基本的に自由出勤OKな店が多いです。
自由出勤というのはその名の通り、自由に出勤してもいい。という事。
「今度いつ来れるかわかんない」
「今日1時間だけ出勤する」
なんてのも日常的。
あ、勿論受付は違いますが。
この業界は、コンパニオンさんあって成り立つので、はっきり言ってコンパニオンさんに甘いのです。
でもそれこそが、この業界のメリットだと思います。
仕事が身内にバレては困る方が殆ど。
それでも事情があって働いているとなると、ソコソコまとまった金額と自由な時間は当然の権利だと思うのです。
あまり当日欠勤が多いと、HPを見て会いに来てくれようとしていたお客様は逃しますが、出勤する前でも出勤中でも予約さえ入ってなければ早退も理由によっては仕方ないと思ってます。
ですが、やはりお金が発生している以上は『仕事』ですので、予約が入った場合は当日欠勤や遅刻は困るし、きっちりとした接客を心掛けてもらいたいもの。
時間にキッチリしていても、手を抜いた接客ではお客様はリピーターにはならないし、その反対も困り者で…
『もしもぉし』
「Sちゃん、お仕事入りました。13時に○○駅にお願いします」
『はぁい、ありがとうございますぅ。さっき家出ましたのでぇ、13時には着きまぁす』
Sちゃんは数少ないAF可能嬢なうえに愛嬌たっぷりの甘え上手で、お客様の問い合わせや予約が桁外れに多いコンパニオンさん。
次から次へと予約が入るので、出勤時間になる前に一日予約で埋まる事も珍しくはありません。
RRR。
コンパニオンさんの専用の電話だ…。
「もしもし」
『リョウコさんですかぁ?Sですぅ』
…あと5分で13時…
何だか嫌な予感…
『今××駅なんですがぁ、電車に乗り遅れて○○駅に着けないですぅ』
やっぱり。
「時間は、どれくらいかかりそうですか?」
『30分くらい』
…
あーもぉ!
30分も遅れるって、わかった時点で連絡してこいっ!
でも、今はそんな事言ってられない。
5分くらいの遅刻なら、コンパニオンさんからお客様に直接電話して遅れる事を伝えてもらうけど、30分にもなると…。
「わかりました。出来るだけ早く向かってください!」
『すみませんぅ』
即電話を切り、お客様に電話をします。
「○○様の携帯ですか?」
『はい』
「○(店名)ですが…13時にご予約いただいたSさんですが30分程遅れるとの連絡がありまして…」
『えー!?もう待ち合わせ場所なんだけど!』←当然の反応。
「申し訳ございません」
もう、平謝りしかないです💦
ここで、キャンセルする方もいれば待ってくださる方もいて、そこはお客様の都合次第。
コンパニオンさんの理由もそれぞれですが、勿論遅刻する方がいけません。
さて。
13時のお客様に電話をしたあとは
次のお客様にも電話します。
一つ予約に遅れると、当然ながら次の予約にも影響が出てくるので。
人気のあるコンパニオンさんほど、こういう事態は避けてほしいものです。
何とか予約いただいたお客様に、時間がおしてる事を了承いただき
Sちゃんも無事お客様と合流。
30分遅れでホテルに入り…
次の予約に向かう途中
RRR
コンパニオン専用電話。
…またまた嫌な予感が。
『リョウコさぁん。電車に携帯忘れちゃってぇ…どぉしたらいいですかぁ』
キー!!
「駅員さんにどんな携帯か説明しておいて、Sちゃんは待ち合わせ場所に行ってください!」
『そうですねぇ、わかりましたぁ』
あー、もぅ!
次から次へと!
結局、最終のお客様は50分近く待たせてしまいました。
次の日。
「おはようございまぁす」
事務所に入って来たSちゃんを呼び出す。
実は、Sちゃんの遅刻はこれが初めてじゃないです。
熱狂的(?)なリピーターさんを多く持ちながら、遅刻や無断欠勤を繰り返す。
そのうえ、リピーター以外の問い合わせも多いので、この遅刻癖はほんとに困るんです。
「Sちゃん…」
「…はい」
「電車に乗り遅れて遅刻しそうならタクシーに乗ってください。電車なら遠回りしなきゃだけど、タクシーならワンメーターの距離です」
「…はい」
「携帯も電車に忘れたのは仕方ないけど、Sちゃんはそういうのが多過ぎます」
「すみません…」
「信用問題になってくるので、いくらリピーターさんが多くてもこういうのが続けば困るんです!」
「ごめんなさぁい、気をつけますぅ」
「……そういう事ですので、これから気をつけてください」
ひたすら謝るSちゃんを前に、もう何も言えなくなる私。
その後…
「リョウコさぁん。今付き合ってる彼の奥さんに私の事バレちゃったみたいで」
「彼って既婚者なんですか!?」
「そうなんですぅ。訴えられたらどうしよう~」
…と、いう話を最後に連絡が途絶えてしまいまして。
その後、違う店で働いてるんでしょうか?
それとも、彼と仲良く暮らしてるんでしょうか?
Sちゃ~ん
帰って
…こなくていいです。
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