第3話 部活動の始まり
彼女の手助けを借りて、慎重にハンカチを取り出した。空気に触れた瞬間、不思議な変化が始まった。元の黄緑色が徐々に消え去り、代わりに淡い青色に変わっていった。まるで初春の空のような色合いだ。
「わあ!本当に青くなった!」思わず驚きの声をあげ、少し照れくさそうに頬をかいた。
千紗は嬉しそうに笑った。「でしょ、でしょ?藍染って本当に不思議だよね?」
「確かに…綺麗だ。」心からそう言った。
「だから、」白銀先輩がいつの間にか隣に来て、「私たちのクラブに入らない?」と促した。
手に持つ純粋な青色のハンカチを見つめ、そして期待に満ちた千紗の目を見ると、もう拒否する理由がないことに気づいた。
「いいよ…」頷いた。「よろしくお願いします。」
「よかった!」千紗が歓声を上げて駆け寄ろうとしたが、白銀先輩が素早くそれを止めた。
「染料が手についてるのを忘れないでね。」先輩が優雅に注意を促した。
「あ!ごめんなさい!」
「柊原くん、来週の火曜日にクラブの活動に参加してね。今はまだ一回だけ活動を受けていて、実際の練習は次から始まるよ。」
「うん、大丈夫だよ。」
**
時間はあっという間に次の週になった。
「今日はみんなに基本的な藍染の技法を教えるよ。」
工芸部の教室で、白銀先輩が説明していた。窓は全部開け放たれていて、染料の独特な匂いが漂っていた。教室の後ろにはいくつかの濃い色の大きな藍甕が置かれ、表面には金色の泡が浮かんでいた。
「この『花』は、」白銀先輩が藍甕の表面を指差しながら、「染料が最適な状態まで発酵したことを示しているよ。みんな、月の色に似ていると思わない?」
隅に立ち、黙ってノートを取っていた。これが二回目のクラブ活動だが、これらの専門知識はまだ新鮮だった。千紗は興奮気味の表情で、ノートが今にも床に落ちそうなのに気づいていなかった。
「藍染で一番大切なのは忍耐だよ、」白銀先輩が続けた。「一度の浸染はほんの数分だけど、何度も繰り返さないといけない。そして…」彼女は少しいたずらっぽい笑みを浮かべ、「工程は簡単じゃないんだよ!」
「問題ないよ!」千紗が最初に手を挙げ、「始めましょう!」
中島先輩が横で補足した。「覚えておいて、布はまず濡らして絞ること。そして、浸染時間を正確に管理することが大事。最も重要なのは…」彼女はわざと千紗を見つめ、「動作を安定させて、染料を飛び散らさないことだよ。」
「気をつけるよ!」千紗が断固として言った。
彼女の自信満々な姿を見ると、何か面白いことが起こりそうな予感がした。
「まずは一回見せるから、」白銀先輩が袖をまくり、「みんなよく見ていて。」
彼女は素早く布を藍甕に浸し、軽くかき混ぜた。染液に波紋が広がり、その金色の「花」が散開し、またゆっくりと集まっていった。三分も経たないうちに、布を取り出した。元々白色の布は不気味な黄緑色になっていた。
「これは還元状態だ、」中島先輩が説明した。
「これからゆっくりと青くなるんだ。ポイントは…」
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