第39話 試験突破の裏技

「おっ、俺の資格…?」


 深夜の公園でコーヒーをすすりながら、野獣先輩は自問自答していた。


「俺もそろそろ手に職つけるべきなんじゃないか…?」


 考えてみれば、今までの人生、流されるままに生きてきた。

 しかし、いつまでもホモビに出演して生計を立てるわけにはいかない。

 これからは、安定した職を得る必要があるのではないか。


 そんなある日、野獣先輩は求人誌をめくっていた。


「ふーん、電気工事士かぁ…いいっすねぇ…」


 未経験者歓迎、高収入、資格手当あり……どこを見ても悪くない条件ばかり。電気工事士の仕事は、家庭や工場の電気設備を施工・保守するものらしい。


「やりますねぇ!」


 気づけば先輩は、試験勉強用のテキストを購入していた。


◆勉強開始!暗記と計算の狭間で


「ん?この問題、わかんないっすねぇ…」


 試験の範囲には、電気回路の基礎知識、法規、安全管理などが含まれていた。

 特に、オームの法則や電力計算の問題が厄介だった。


「V=IR…?U=RI…?頭に入って、どうぞ」


 公式を覚えるのに苦戦する先輩。しかし、諦めるわけにはいかない。


「こんなんじゃ受からないよ、情けないよ…」


 焦る気持ちを抑え、野獣先輩はYouTubeで解説動画を探し始めた。すると、ある動画に出会う。


「えっ、なにこれは……」


 そこには、受験者向けのわかりやすい解説があった。


「やりますねぇ!」


 それからというもの、野獣先輩は動画を見ながら問題を解きまくった。


「テキストと動画の二刀流とかまじ最強やんけ!」


 理解が深まり、次第に自信がついてきた。


◆実技試験への挑戦


 筆記試験を突破するには、60%以上の得点が必要だが、それだけでは終わらない。実技試験では、制限時間内に正確な配線を行う必要がある。


「んあー!!! 難しすぎィ!」


 先輩は電線を切断し、端子に接続しようとしたが、手元が狂ってしまう。


「おっ、大丈夫か大丈夫か~?」

「ダメみたいですね……」


 しかし、ここで諦める往生際の悪い先輩ではない。彼は「リングスリーブ」や「差し込みコネクタ」の使い方を徹底的に練習し、試験本番に備えた。


「これが電気工事士の技術かぁ……」


 日々の鍛錬の成果が表れ、確実にスキルが向上していく。


◆試験本番!運命の瞬間


 ついに迎えた試験当日。一睡もできなかった野獣先輩はネムネムの顔で会場へ向かう。


「じゃあ俺、試験受けるから…」


 試験会場には、様々な年齢層の受験者が集まっていた。


「試験開始ィ!」


 筆記試験では、今までの勉強の成果を発揮し、スラスラと解答していく。


「ウホッ! こんなん、余裕っすよ」


 一方の実技試験。時間との戦いに緊張が走る。


「やべぇよやべぇよ」


 手元が震えたが、落ち着いて作業を進めた。


「最後の確認、しっかりしなきゃ(使命感)」

 配線が正しいか、ミスはないかと彼は慎重にチェックし、試験官に提出した。


◆合格発表!そして新たな旅立ちへ


 数週間後、試験結果が郵送される。


「どうせ落ちてるんでしょ…知ってる知ってる(ネガティブ)」


 しかし、封を開けると…


「う、受かってるやんけ!!」


 そこには「合格」の二文字が輝いていた。


「やりますねぇ!」


 長きにわたる努力が報われた瞬間だった。


 そして、野獣先輩は新たな人生を歩み始めた。イキスギ電気工事士として、現場で活躍する日々。


「んにゃピ。こ↑こ↓が俺の職場かぁ……」


 配電盤の前に立つ先輩の顔には、誇らしげな笑みが浮かんでいた。


「電気工事士になった俺に……死角はなかった」

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