第13話 野獣先輩と失われた黄金の鍵

 それはある真夏の日のことだった。

商店街の片隅で、ひとりの老婆が途方に暮れていた。その姿を見つけたのは、我らが野獣先輩。


「んにゃぴ。困ってるみたいだし、声かけてみますか。」


 老婆に近づくと、涙ながらに語り始めた。


「黄金の鍵を失くしてしまったんです……夫が遺してくれた、大事な形見で……」


「大丈夫だって安心しろよ(迫真)」と野獣先輩は胸を叩き、探すことを約束した。


 商店街を歩き回りながら、野獣先輩は次々と人々に声をかけた。


「黄金の鍵、知らないっすか?」

「見かけてないっすね…」


 なかなか情報が集まらない中、商店街の奥にあるタコ焼き屋のマスターがぽつりと話した。


「昨日の夜、怪しい男が商店街の廃墟に入っていったのを見たぞ」


「ほぉ~いいこと聞くじゃん」


 野獣先輩はその足で廃墟に向かった。中は薄暗く、かび臭い空気が漂っている。足元に気をつけながら奥へ進むと、埃まみれの机の上に光るものを発見した。


「これだよ、これこれ!」


 黄金の鍵を手にした瞬間、背後から低い声が響いた。


「お前、何してんだよ…」


 振り返ると、そこには黒いフードをかぶった男が立っていた。


「なんだァ?てめェ…」


 男は怒声を上げ、野獣先輩に襲いかかる。しかし、野獣先輩は怯まなかった。


「イキスギィ!!!」


 豪腕パンチを繰り出すと、男は壁に叩きつけられて動かなくなった。


「やっぱり俺、王道を征く、正義の味方なんで。」


 無事に鍵を取り戻した野獣先輩は、イキスギた老婆のもとへと戻った。鍵を手渡すと、老婆は涙を浮かべながら礼を言った。


「本当にありがとう…あなたがいなかったら、私はどうなっていたか…」


「やりますねぇ!(満足)」


 こうして、商店街は再び平穏を取り戻したのだった。野獣先輩は夕日に向かい、ひとり歩き出す。


「ま、こんなもんでしょ(謙虚)」


 彼の背中には、どこか哀愁が漂っていた。

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