第32話

目覚めたサノスはいつも通りランニングに向かった。

数日では効果は確認できないがそれでも出来ることをするしかない。

「ふぅ・・・。今日はこれぐらいにしておこうかな」

宿に戻り水を浴びてから部屋に戻り、装備を確認して宿を出る。

いつものお店でご飯を買って冒険者ギルドに向かった。

そこには居心地悪そうにしているアマンダが待っていた。

「昨日はごめんなさい」

「いえ。体調が悪いとかあったら言ってくださいね」

「うん・・・。2人が待ってるから中に入りましょ」

アマンダはそう言って冒険者ギルドの中に入る。

サノスもその後を追いかけた。

「おはようさん」

「おはようございます」

朝の挨拶をしていると冒険者ギルドの職員が声をかけてくる。

「おはようございます」

「おはようございます」

「皆さんに指名依頼が出ています」

「指名依頼ですか?」

「はい。ですので引き受けていただけると助かります」

ジントが代表して依頼表を受け取る。

「ここって昨日、アマンダとサノスが行ったところだよな?」

アマンダとサノスは依頼表を確認する。

「そうですね。昨日、行ったところです」

どうやってパーティーのことを調べたかはわからないがこうして指名してきたことを考えるとろくでもないことを考えていそうだ。

「報酬は悪くないぜ?銀貨5枚だってよ」

「そこはちょっと・・・」

アマンダはそう言って口ごもる。

「何か問題のある依頼なのか?」

依頼内容は倉庫整理と接客の手伝いとなっている。

間違いなく接客の手伝いはアマンダとカノンがすることになるだろう。

「ミーネさんはいます?依頼のことで相談したいことがあるんですけど」

アマンダはそう言って職員に尋ねる。

「チーフですか?確認してまいります」

職員はそう言って一度下がりすぐにミーネを連れて戻ってきた。

「何かありましたか?」

「依頼のことで相談したいことが・・・」

「そうですか。ここでは何ですから奥にどうぞ」

そう言って案内されたのは個室だった。

「それで、相談とのことですが・・・」

「ジントとサノスは耳を塞いでて」

「わかりました」

ジントとサノスが耳を塞いだのを確認してアマンダがミーネに事情を説明する。

ミーネはその理由を聞いて何やら難しい顔をしている。

カノンが合図を送ってくれたのでジントとサノスは耳から手をはなした。

「こちらでも調査はしますが、今回は依頼を受けてください」

「それって・・・」

「2人に嫌な思いをさせると思います。でも、実態を解明できないと処罰できないんです。お願いします」

アマンダとカノンは見つめあい頷く。

「わかりました。そういうことなら出来る限りやってみます」

「よくわからないが2人はそれでいいんだな?」

ジントは2人にそう確認する。

「えぇ。私達が我慢すればいいことだもの」

2人の決意は固いようだ。

ならば、全力でそれをサポートするだけだ。

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