第14話
素振りを終え、採取してきた果物で腹を満たしたサノスは宿を出て、冒険者ギルドに向かった。
ジントは1人で待っていた。
「おはようございます」
「おう。おはようさん」
「アマンダさんとカノンさんはまですか?」
「もう少ししたら来るだろ。俺は先に換金してくるよ」
そう言ってジントは受付に向かった。
ジントが受付に並んでいる間にアマンダとカノンもやってきた。
「おはよう」
「おはようございます。少し聞きたいことがあるんですけど・・・」
「何かしら?」
「僕、お酒を飲むと記憶がなくなるみたいで・・・」
「自分で気が付くとは思わなかったわ」
「やっぱりお酒が原因なんですね。迷惑とかけていませんか?」
「逆よ逆。お酒を飲んだサノス君には助けられてるから」
「えっ・・・?」
「酔っぱらってるサノス君は新人とは思えない働きをしているからね」
「うんうん。だから、もっとお酒飲んでね」
思ってもいなかった発言である。
普通はお酒を飲んだら迷惑をかけるものだがその逆らしい。
「できれば、遠慮したいところですね」
「そうは言ってもね・・・。お酒も買ってきちゃったし」
そう言って酒瓶を見せてくる。
「う~ん・・・。では、飲みますね」
記憶がなくなるのは怖いが、酔っ払いの状態の方が役に立つならとサノスは酒を飲む。
「今日の酒も美味いな」
「そう言ってくれると選んだかいがあったわね」
そんなことを言っている間にジントが戻ってくる。
「昨日の分を分配するぞ。金貨5枚に銀貨5枚ずつだ」
ジントがそう言ってそれぞれにお金を渡してくる。
「準備がいいなら行くぞ?」
全員が装備を確認して森に向け出発した。
森の中に入ると今回は早々に狼の魔物であるスモールウルフの群れに襲われた。
「っち。面倒だな」
ジントは思わずそう呟く。
スモールウルフは単体では強くない魔物だ。
だが、数が多く群れることでその脅威度が跳ね上がる。
新人冒険者の怪我や死亡率の原因の第1位に上げられるほどだ。
「お前らは防御に徹しろ」
サノスはそう言うと剣を構えて突撃する。
突出するような形となるサノスをスモールウルフは囲んでくる。
襲い掛かってくるスモールウルフをサノスは次々に斬りすてていく。
その姿はまるでダンスを踊っているようだった。
多少はジント達の方にスモールウルフが流れたがそのほとんどをサノス1人で倒していた。
「ふぅ。終わったな。怪我はないか?」
「あぁ。大丈夫だ」
「どうする?一度戻るか?」
「そうだな・・・。流石にこれだけの量を持ったまま狩りを続けるわけにはいかないか」
「わかった。一か所に集めてくれ」
全員で狩ったスモールウルフを一か所に集めサノスが風魔法で浮かせる。
サノス達はスモールウルフの山を換金すべく街に引き返した。
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