第6話
門番に驚かれたものの戦利品である大量のオークの死体を運んで冒険者ギルドに戻ってきた。
「おい。あれ、どうなってるんだ?」
「オークが浮いてるだと・・・?」
奇異の目で見られているがサノスは気にした様子もなく受付に並ぶ。
「ちょっとそこの貴方達。騒ぎは勘弁してよね」
そう言って受付嬢の1人が出てくる。
「騒ぎと言われてもな・・・」
「はぁ・・・。その謎の技術にも突っ込みたいけれど解体所に案内するからついてきなさい」
「わかった」
サノスは受付嬢に連れられて解体所にオークを運んでいく。
ジント、アマンダ、カノンもそれに続いた。
「親っさんいるかしら?」
「なんだ。ミーネじゃないか。この時間は受付だろ?」
「ちょっと問題が起きてね」
「問題というのはその大量のオークか?」
「そうよ。流石にこんな状態で放置してたら受付業務に支障がでるもの」
「まぁ。事情はわかったが・・・。悪いんだが非番の連中を呼び出してくれないか?」
「非番の人を?」
「その量を今の人数で裁くのは無理だ」
「わかったわ」
そう言ってミーネと呼ばれた受付嬢は解体所を出て行った。
「若いの。悪いがこっちまで運んでくれ」
サノスは指示された場所までオークの死体を運ぶ。
「よし。そこでいいぞ」
「魔術の腕もいいが、オークの状態もいいな。これならかなりの額になるだろう」
「査定ってどれぐらいで終わるんだ?」
「数匹ならいいがここまで多いとな。明日まで待ってくれないか?」
「それは困った。実は金がない」
サノスはそう言って財布を逆さにする。
「はぁ・・・。仕方ない。俺が金を貸してやるから」
そう言ってジントは溜息をつく。
「マジか?助かったわ」
「とはいえ、俺も貯えがそんなにあるわけじゃないからな。エールは1、2杯にしてくれよ?」
「飲めるだけありがたい」
「話はついたみたいだな。これを渡しておくから明日、受付にその札を見せてくれ」
そう言って木の札を渡される。
サノスはその札を受け取るとジントに投げて渡す。
「俺が持ってていいのか?」
「このパーティーのリーダーはお前だろ?ならリーダーの仕事だ」
「わかった。なら、これは預かっとくぜ」
その後は冒険者ギルドに併設されている酒場に移動して酒と料理を楽しんだ。
少々周囲が騒がしいがサノス達は気にしないことにした。
だが、楽しい酒宴に水を差す人物が現れた。
その人物はサノス達を解体所に案内してくれた受付嬢のミーネである。
「お楽しみのところすみません。ギルドマスターがお話があるそうです」
「ギルドマスターが?」
ジント達はサノスより少し早く冒険者ギルドに登録しただけで新人の括りに入る冒険者だ。
当然、ギルドマスターとは会ったことがなかった。
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