第3話
サノスはパーティーメンバーと共に森に来ていた。
目的はゴブリン退治である。
ゴブリンは繁殖力が高く、常時討伐依頼の出ている魔物だ。
運よく単体で動いているゴブリンを見つけた。
「よし。まずはどれぐらい戦えるか見せてくれ」
そう言ってきたのはこのパーティーのリーダーであるジントだ。
「わかりました」
サノスは剣を抜きゴブリンに向かっていく。
だが、実際に戦ったことのないサノスは動きが固い。
その様子を見ていたパーティーメンバーの面々は不思議に思う。
昨日、酒場でみたときとはまるで別人だ。
ゴブリンは当然攻撃してくる。
サノスは大げさに躱しなんとか剣を繰り出す。
当たり所がよかったのかそれだけでゴブリンは絶命していた。
「う~ん・・・。昨日の威勢はどこにいったんだ?」
「昨日?何のことだかわからないんですけど・・・」
サノスには本当に心当たりがなかった。
「まぁ。いい。魔石と耳を回収するぞ」
「はい」
サノスとジントがゴブリンを解体している間、僧侶のアマンダと魔術師のカノンが密談をする。
「もしかして・・・」
「うん。彼、昨日はお酒飲んでたよね?」
「お酒を飲むと性格が変わるタイプか・・・。そして、その記憶がないと・・・」
密談を終えたアマンダとカノンがジントに話しかける。
「ジント。ごめん。忘れ物したからちょっと街に戻らない?」
「忘れ物ぉ?おいおい。しっかりしてくれよ」
「ごめんね。でも大事な物だから」
「サノス。悪いな。1回街に戻るぞ」
「あっ。はい」
サノス達は狩りを中断して街に戻る。
「ここで待ってるからさっさと行ってこい」
「うん。10分ぐらいで戻るから」
アマンダとカノンはそう言うと去って行った。
宣言通りアマンダとカノンはすぐに戻ってきた。
「それじゃ。時間を無駄にしたしさっさと行くぞ」
再び森に入りゴブリンを探す。
森の少し奥に入るとゴブリンの集団を発見する。
「規模が大きいな。どうする?」
幸いまだ、ゴブリンには発見されていない。
スルーするのも手だ。
「秘密兵器があるからね」
そう言ってアマンダは瓶を取り出す。
「サノス君。ちょっといい?」
「なんですか?」
「これ飲んで」
瓶を受け取ったサノスは困惑顔になる。
瓶からはアルコールの匂いがするからだ。
「いいからいいから」
アマンダは強引にサノスに瓶の中身を飲ませてくる。
「ちっ。なんだ安物か」
「おいおい。どうなってるんだ?」
ジントが不思議そうな顔をする。
「サノス君はね。お酒が入ると性格が変わるんだよ」
「そうそう」
「なるほど。しかし、戦闘中に酒を飲ますのは・・・」
「多分大丈夫だと思うよ」
「だね」
「酒の分は仕事してやる」
そう言って性格の変わったサノスはゴブリンに突撃していった。
その動きは見事というしかなくあっという間に群れを討伐する。
パーティーメンバーの面々は拍手を送るしかなかった。
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