第49話 鎧に妹が乗ってて草


「兄様ごめんなさい」


「謝る必要はない。ミラが親父のことを気にかけていることをすっかり忘れていた俺の落ち度だからな」


 教会に戻ると妹のミラがステラとともに鎧に乗っていたことが判明し、俺の顔を見るなり謝ってきた。

 まだ聞いてないので事情はわからないが、馬鹿をしようとして乗るタイプではないのでフォローをしておく。

 実際に俺がもう少しミラに目を向けていれば避けられたのは事実でもあるし。


「それよりもこれからどうするんだ? 闇精霊は消えて、親父は元に戻ったが」


「もう少し心の整理がつくまでここに置いてもらえませんか兄様」


 これ以上鎧に乗った件について言ってもしょうがないので話を変えるついでに今後のことについて聞くと意外な返事が返ってきた。

 責任感が強いのに珍しい。


「お前の父さん、ミラに酷えこと言ったんだよ」


 疑問に思っていることを顔から悟ったのか、アンディがそう事情を説明してきた。

 周りがアンディを見てギョッとした顔をしているのが少し気になるが続きを聞くと親父が本心をぶちまけていたことがわかった。

 俺の前では常時カスだったので平常運転に思えんことではないが、ミラは良くされていたのでショックだろう。


「ミラもかなり堪えてて」


 マウントされまくって若干アンチ化してたステラも擁護に回るくらいには重症のようだし時間を置いた方がいいか。


「俺はミラがそうしたいと思うのならいいよ。俺も自由にやってるし、人にどうこう言えるようなもんじゃないしな」


「ありがとうございます兄様。皆さんもう少しよろしくお願いします」


 ミラに了承したことを伝えると皆に向けて頭を下げた。


「こっちこそよろしくね」「いつまでも居ていいぞ」「俺も殺されかけてシドの親父怖えしな」「マウントはやめて下さいね」「まあパパゴキだったのはショックだししょうがないよ」


 皆も受け入れているようだし大丈夫そうだな。

 あと気になることは教皇が俺に用意すると言った今回の戦果に見合った地位だが。


「おう、ジンジャーじゃねえか。久しぶりだな。てっきりくたばってると思ってたぜ」


「ああガンダイン五年ぶりですね。そろそろ天に登れると思ってたのですがエリス様にまだダメだとこうして示されてしまいまして」


「本当に母なんですかガンダイン様。 ビジュアルがおかしい気がするんですが」


「少し若くなってるがテメエの母親だ。テメエがガキの時には体がすっかり衰えてたから見慣れねえかもしれないが」


「……マザーすみません。見た目があまりにも違ってて混乱してました」


 ちょうど教皇達が鎧から降りてくるのが見えたので見ているとガンダインによって巨女がジンジャーだと同定されて教皇と抱き合っているのが見えた。

 おそらくこれからジンジャーと情報のすり合わせをするし、教皇の決定を聞けるのは少し先になりそうだな。


  ───


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