〜アサシンズ・クラウン〜【暗殺者の王冠】
空の上の猫
〜プロローグ〜
「ーー・・・ーー」
ん? ・・・
なんだ……誰だ……寝てるんだから邪魔しないでくれ…。
「・・・ーい・・」
とても若く、どこか聞いていて
心地良いとすら思える声が聞こえる…。
「・・おーい・・ーー・・もしもーし・・ー」
なんでだろう……今すぐ目を開けて
この声の正体を知りたいのにまぶたが重くてビクともしないや……
可愛い声だな…。
「おーいー・・聞こえてるかな〜?・・・もしもーし・・・」
あぁ……しっかり聞こえてるんだ……
この目で確かめたい…誰なんだ……
頼む…教えてくれ……。
体が動かない……ビクともしない…
まるで自分の体じゃないようだ……
指ひとつ動かす感覚が全くない…
何かに縛られてるみたいだ……。
「・・・・ーけて・・・」
え……誰?さっきと声が違う……
でも、また若い女の子の声だ……。
なんて言ってるんだ…聞こえない……。
「ーー・・けて・・ーーん」
すまない…体が動かないしよく聞こえないんだ……もっと近くで言ってくれないか……。
「たすけて・・・さん・・・ー」
たすけて?……おい!大丈夫なのか!?……何が起きてる……頼む…動……け……動いてくれ……動け!!・・・!
その瞬間…
自分の中に魂がスッ...
っと戻ったような…
神経という神経に強い衝撃が走る感覚が伝わる……
それと同時に体験した記憶のない声が頭の中に次々と流れ込んでくる…。
「お願い!助けて!・・・・
"おとうさん!!"」
え…………おと……うさん……?
お前が味方で良かったよ
あ〜あ…バレちゃった……
この世界に未来なんか……
私は大発明をなしとげるのです!……
転生者は本当に存在する!!…
私が……私こそが神なのだ!!………
お前…誰なんだ……
さぁ...終幕といこう......ーー
・・ー・・・ーー・ーーー・・
"おかえり"
脳内に突然次々と流れる身に覚えのない声………
知らない...会ったこともなく...
聞いたこともない声が頭の中に響いた.....____
とても長い夢でも見ていたんじゃないだろうかと...
そんな気分だ…...。
ふと目が覚めた事に気づき、
ゆっくりとまぶたを開けると眩しいくらいに太陽は光っていて、真っ青な空に
普段と変わらず鳥やモンスターが飛んでいた。
何も変わらないいつもの
景色......
どこか安心すら感じる…でも…
違和感が皮膚に伝わる…。
さっきまで雨が降っていた訳でもないのにつーっと頬につたるもの…
え…涙……あくびでもしたのだろうか......。
まぁ、起きてあくびくらいするよな……
とさっきの夢の事は風に流される様に消えていた・・・。
グゥー...っと強く背伸びし
大きく息を吸った......。
喉乾いたや酒場でぱ〜っとのもっかなん!!
・・・・・・・・・・・・。
俺は産まれた時の記憶がない。
親の顔も兄弟がいたのかすら全くと言って覚えていない……
いつの間にかこの国にいて、いつの間にか周りに仲間と呼べる人間が増えていた。
ーパルテステラリオル王国ー
中心に大きな城が構え
王都ギルシアを囲む長く高い魔法防御壁がこの王国を守っている。
多くの冒険者や商人達が行き来する大きな大きなこの王国には変な異名が付けられた......。
王都でも噂される転生者とかいう奴らに"異世界の都"と呼ばれ
王国のある大陸中でもその名で知られる程名高い王国である。
最近じゃ他国との同盟で王が皇帝になるとかならないとか・・・。
ここにはなんでも揃っている、
冒険者ギルドはもちろんの事…
優秀な魔法使いに憧れ、数多くの魔法を取り扱い、他所よその国からも生徒がやってくるという程の
それはそれは大きく立派な
【マーリナス国家魔法学園】というのが存在している。
年がら年中お祭り騒ぎの市場や、飲んだくれの冒険者達が集まるギルド酒場、路地裏には大人の世界が広がってる。まさに自由そのものを体現したような国だ……。
そんな国で特に目立たず…
裏でコソコソと仕事をこなしてはそれなりに良い生活が出来てる俺は、この王国にも、誰からも称賛されることの無い職業なわけだ。
名は"ヴルスト・ハンス・シエル"
職業はーーーー
""アサシンだ""ーーー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます