第6話

キャンパス内の図書室で優弦は友人の堀川調達と一緒に勉強していた。高校時代はトップクラスにいた優弦だが、流石に医学部の勉強量は半端ではない。

優弦には1年の時から仲間が出来ていた。

西山岳大は病理学のテキストを開いていた。

「私、病理学苦手」

浅見まどかが苦い顔をしながら、テキストを見ていた。

「真有は?」

「私は5ページの問2。さっきからずっと考えてるんだけど」

優弦がふと腕時計を見た。

「ゆず、バイト?」

「ああ」

優弦は勉強道具を黒いメッセンジャーバッグにしまった。

「じゃあなー」

優弦は図書室を飛び出して行った。

「ゆずの奴、あれだけバイトしていてトップ取るんだからな…… 」

調が呟いた。

「俺も出来る方だと思ってたけど、ゆずには敵わない」

調はそう言うとテキストに向かった。

「だけど、デート出来るのが水曜日だけって寂しくない?」

まどかが真有を見ながら言った。

「もう慣れた。高校からずっとだからね」

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