続・いつか恋は愛になる

水島あおい

第1章 ひとひらの恋

第1話

春が来た。

春は恋の季節というだけあって……

と言っても此処ホワイトロードでは年中女の子達の恋の相談が続いている。

話を聞いているのは桐野優弦だ。

優弦は高校3年間+大学の2年間此処でバイトしている。

北陽大学医学部の3年になったばかりだった。

悩み事を相談して来るのは、高校生や大学生がメインだが、中には大人の女性からもある。その中には優弦へのアプローチも含まれているが、優弦には同じ医学部の同級生に彼女がいた。


カラーン

鈴の音がして本田真有が店内に入って来た。可愛い女の子を連れている。

5歳になる妹の皆帆だ。

「いらっしゃいませ」

「こんにちは。皆帆ちゃん」

2人はテーブル席に着いた。

「あのねー。ゆず。皆帆ね。カレーパスタ食べに来たの」

皆帆は以前、医学部の友人達が集まった時に優弦をゆずと呼んだのを見て、それからお兄ちゃんからゆずに変わっていた。

「マスターの自信作なんでしょ。そう言う事で父さんも遅いし、食べに来ましたー」

真有は明るい笑顔で優弦を見た。

「食べに来ましたー」

皆帆も続く。

優弦は思わず、春の木漏れ日のような笑顔を見せた。

「はい。かしこまりました」

優弦はそう言うとマスターの所に戻った。

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