第9話

臨と悠真はマンションに一緒に暮らしている。

所謂高級マンションである。

防音設備も整っているから、夜中でも練習OKだ。

菜奈はよく差し入れにやって来る。

菜奈は朱音のファン第1号で、無名の頃から変わらず応援し続けていた。

「はい、どうぞ」

お重を開けると、中に入っていたのはいなり寿司。そして出し巻き卵、筑前煮、唐揚げだ。

「まだ晩御飯食べてないでしょ」

「助かるよ。菜奈!」

臨は喜びの声を上げた。

菜奈は笑いながら、いなり寿司を皿に取り分けて行く。

そんな菜奈を悠真はずっと見つめていた。

「さあ、食べて。お茶淹れるね」

そう言って今度はブルーのケトルに水を入れて火にかけた。

2人は夢中で食べている。

其処に菜奈は湯呑みを置いた。

「ありがとう。菜奈」

2人は声を揃えて言った。

「どーいたしまして」

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