第2話

外は雨が降っていた。

静かな店内で、コーヒーカップの温もりだけが妙に優しく感じられる。

環奈はゆっくりとコーヒーを飲んだ。

芳醇な香りとコクが胸の中まで広がって来る。

「美味しい…… 」

また涙が滲んで来る。

高瀬環奈は制服姿のままその席に座っていた。

そこは白い空間だった。

カウンターもテーブル席も全て真っ白である。

そのカウンターの中で桐野優弦がコーヒーを淹れていた。

環奈はぼんやりとその姿を見て、またコーヒーカップに視線を落とした。

「俺、好きな子がいるんだ…… 」

彼からの突然の別れだった。

彼が好きになったのは、私の友人だった。

また環奈の瞳に涙が浮かんで来る。

いつの間にかコーヒーがなくなっている。

もう帰らなきゃいけないのに、席を立ちたくない。

もう少し此処にいたいな……

その時、優弦が環奈のカップにコーヒーを淹れた。

「え?あの…… 」

「これ、もう入れ替えないといけないんだ。飲んでくれると助かる」

環奈は驚いて優弦を見た。

「どうぞ、ごゆっくり…… 」

優弦は優しい笑顔を見せた。

そしてそのまま、カウンターへと戻って行っ

た。

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