サムライ少女と中年冒険者の旅路

踊りまんぼう

第00話 サムライ少女と二人道中



「あれがそうでござるか……アルガルの街」


 艶やかな長い黒髪を水色のリボンでまとめたポニーテールの少女が、その端正な顔を向けながら、横を歩くやや中年に差し掛かってきたような男冒険者に語り掛けていた。


 彼女は髪色と同じくらいか、それ以上に深い黒の瞳を輝かせていた。


 東の方から来たという少女は、この国では珍しい和装に身を包んでいる。その腰には刀と呼ばれる曲刀を差しており、彼女が剣士……否、サムライであることを示していた。


「そうだな……」


 中年冒険者は、考え事をしているのか、少しぼんやりした返事を返している。

 ソロで長く活動していた冴えない自分が何故急にこんな可愛い少女と一緒に旅をしているのか、ここ数日のめまぐるしさをまだ受け止めきれていない。


 彼女と出会いは三日前のことだった……。



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