第9話 初心に戻ってみよう
小鳥遊さんから、二人で話がしたいという事で、俺の部屋で会う事になった。
そして開口一番――
「という訳で紗城さん! わたくしミニオンになる事にしましたわ!!!」
「何がという訳でなのか分かんねえんだけど!?」
小さな体、ゴシックでロリータな可愛いフリルのついた黒い衣装。
確かダンジョン潜る時とかに使ってた戦闘形態とやらのかわいらしい姿でやってこられた。
「なんでそのちっちゃい体で来たの……?」
「いや、これから紗城さんの下につくわけでしょう、なら、初心に帰ってみようかと思いまして!」
よく分からない理由だ。……誰かの入れ知恵かなあ。
「いや誘ったのはこちらだけど、まさかそちらから心変わりしてくれるとは……何かあったの?」
「いえ、特には……いろんな方と相談したりとか、よく考えたりとかはありましたが。元々、結構乗り気ではありましたから!」
「そうだったん……?」
あまり反応良くなかったから断られるもんだとばかり思っていた。
「それで――どうですか?」
小さく微笑みかけられる。
いつもと同じ態度――かどうかは置いといて、(ちょっとテンション高めな気がする)
見た目が違うだけでなんかこう……かわいらしさ増しと言うかなんというか。
「ミニオンになるからには、わたくし紗城さんのいう事ならなんでもお聞きいたしますわよ!」
「何でもとか人にそう簡単に言う物じゃないぞ……?」
何でもとか言うと、言葉尻取って強制契約して文字通り何でもさせる奴とかいて……余談だからどうでもいいか。
しかしテンション高いなあ……いや、別にこちらとしては嬉しいんだが。
***
ドアの向こう側から私、ステラとサクちゃんが盗み聞きしています。
「なんてちっちゃい子形態で入ったんでしょうか?」
「大人の姿だとアタックが難しいと悟ってアプローチを変えてみたんじゃない?」
「はえーちっちゃい子好きなんですか」
「世話焼きだからね……どちらかと言うと目下の方が色々反応良くなるんじゃない」
するとはたから見ると小さい子が年上のお兄さんにアタックかけてるみたいな図になっていますが。
中身は一応大人の人なんですよね……
「ようやく華維くんにアタックかける気になったって訳ね。ミニオンになるっていうあっちからの後押しがあってようやくか……」
「サクちゃんはいいの? 取られちゃうかもよ?」
「別に? ナンバーワンはわたしだから……」
「自信ありまくりですね……」
「ちょーと焼きもちは焼くけどねー。ただあの人は、一緒に居る長さを重視するから。どうしても、わたしの方が上なのよ」
「独占したいとかないの?」
「……独占しても、どうせ華維くんにはいくらでも人が寄ってくるのよ。もう慣れたわ」
「へーそうなんだ……」
まあ、人の恋路の話とかはよく分かりませんが。
なんか、中から何でもやりますとか聞こえてきますが……ちょっと響きが怪しいです。
「しかし、華維さんが言ってた人だけどミニオン気質みたいなのって、ああいう感じの事言うんですかねー」
「うーん……何かちょっと違う気がするんだけど……」
「え? 違うんですか? あのままだと身も心も財産も人に捧げそうな感じしてますが」
「いやなんかこう……ミニオン気質ってのは、意志が希薄で人の指示に従わないと生活もままならないとか……自分一人だと上手く行かないけど人の指示を聞くと上手く行くワンコ気質とかであって……」
「じゃあ、あれは何ですか?」
「恩人や推しに貢ぐ感じの人ねぇ……まあ結構見るわ」
「なるほど、私に全財産捧げる勢いでスパチャしてる感じの人ですかねー?」
「そう言えば大人気配信者だったわねステりゅん……どう思ってるのそれ」
「いやまあその位熱心な人がいるな、で流せないとアイドル業やっていけないし」
そんな風に話が別の方向に流れていきました。
***
「何か悪しきように言われてるような……」
リビングにいる二人がうわさ話でもしてんのかな。
……桜に後で何か言われそうだなあ。
「そうですか? 短い生涯ですべてを捧げてもいいと思えるような何かを得られるなんて、それこそ一生かかっても得られるか怪しいものだと思いますわよ?」
「そうなん……? よくわからんが」
「人の面倒ばかり見ている華維さんがいう事ではありませんが……? まあ、細かい事はいいでしょう! それに、ミニオンになって下さいというのは、紗城さんから誘ったのでしょう?」
体を寄せてくる。
「今更、無かったことにしてくれと言われても、困りますわよ?」
少し、恥ずかしくなって頭を掻く。
「まあ、よろしく頼むよ。……俺もそうしていただけるとありがたい」
「了承という事でいいですわね!!!」
……まあ、これだけ言うのだからこちらも好きにやって構わないだろう。
よーし、久しぶりにテイマーとしての腕を鳴らすか……
「まあそんなわけで……俺が今からやる事を無かったことにしてくれと言われても困るからな?」
「……え、何するんです?」
ちょっと脅したら怖がられた。
「……やっぱやめとく?」
「いえ、何か脅されたので事前に聞くだけ聞いておこうかと……ミニオンだからって体を異形の魔物とかにされても困りますし」
「いやさすがにそこまではしないけど……まあ端的に言うか」
「なんでしょう、ミニオンになって最初の教え……何をすることになるのでしょうか!」
ごくり、とつばを飲み込む音が聞こえた。
「俺は今から――小鳥遊さんのスキルとかレベルとか全部リセットする」
「……え?」
「レベル1、スキル無しの状態から――全て、やり直してもらう」
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