14:忌み夜

夜の音

すぐそこまで迫ってくる

底知れない黒の気配

そこから逃げて駆け込んだ


昼の場所から

追い出されるのは嫌だった

私は夜を生き抜けない


大股で歩いてくるそれが

いつか全てを飲み込んで

世界ごと

消し去ってくれればいいのに


人の気配がしないことを

ただ何回も確認して

ひたすら夜から逃げている


黒に沼へ取り込まれた人

夜に引きずり込まれた人

空に歪められてしまった


人 人 人


夜から逃げた少年は

黒い手に足を掴まれて

音もなく

そのまま夜に溶けてった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る