第12話 決着2
「ツリトだけは死なせない」
目の前の空間の歪みを睨みつけているキララは身が震えるほど恐ろしい気配を感じた。黒のオーラを纏っている同じ匂いがする男たちとそいつらの匂いはするが獣の匂いもする男の匂いも感じる。だが、やはり、一番恐ろしいのはオーラを纏ってはいないが鍛え上げられた超人の独特の強者だけに感じる匂いを感じていた。
だから、キララは龍の鱗を全身に纏って本気を出した。仮面を着けて今の姿は隠しているが。空間の歪みが止まった瞬間に龍の咆哮を放ち一瞬で別空間の向こうにいる男たちを粉々に砕け散らした。
「ふう。これで大丈…」
強烈なオーラの気配を感じた。練度が違っていた。何度も何度も練り上げて来たのだろう。だが、これは何十、何百、何千年努力して辿り着ける境地だと断言できるほど練度が違っていた。
ごっくん。
「ふーーーーーーー。ん?」
確かに敵意を感じる。だが、中々来ない。迷いを感じる。今も威圧的な禍々しいオーラを感じる。だが、来ない。オーラの気配がなくなった。
「来ない?」
異空間からの煙が晴れて姿が見えた。青髪蒼目のワイルドなイケメンで深紅の着物を着ているロン毛を後ろで括っただけの男が不敵に笑ってキララを見ていた。
「なるほど。龍人か。やべえ。抑えられない。まだまだ、強くなるが戦いたくなっちまうなあ。だが、一番刀を持って来てないな。クソう。俺としたことがこの運命を感じなかったとは。たあー、やはり自然を感じていないと感が鈍くなっちゃうなあ。ちっくしょう。遊んで王様を誘拐するか」
その男は異空間から地上に降りた。軽く体をストレッチするとオーラを纏った。灰色のオーラを纏っていた。刀も灰色のオーラを纏っている。何も黒シリーズを着けている様子はない。
「こんなにも練度が違うなんて一体何年生きてるの?」
「俺かあ?うんとねえ。百年ぐらい?まあ、知らん。そんなことはどうでもいいことだろうよ。今俺と龍人が向かい合っている事実を楽しもうや。行くぜ」
「ふう」
キララはシックスセンスである欺くで自分の姿をぶれて見えるように目の前の男を欺いた。
「面白い。いざ尋常に、勝負」
その男は刀を抜くと膝を軽く曲げて一直線にキララに向かって跳んだ。キララは足を鞭のようにしならせて迫りくる男の刀が振られる前に回し蹴りを食らわした。その男は王都の外に吹き飛ばされた。それは丁度、戦いが終わり王城に向かおうとしていたサルシアの上空に飛ばされた。それを真下で見ていたサルシアは驚愕の表情をして、空中で飛ばされていた男は不敵に笑った。
「お前は、サンドラ・サキューバスか⁉」
「っへ、正解だ。感動してるか」
炎を身に纏って空中に止まったサンドラが不敵に笑ってサルシアを見ていた。
「何だ。若えのにそんなチートを使っているのか?はあ。情けないな。まずはお前から殺してやろう」
爆炎を起こしサルシアに向かって一直線に飛んで剣を振った。その剣はサルシアの体を斬る軌道に入っていたが軌道から外れた。サルシアが瞬間移動して避けたのだ。
「サンドラ。お前はエージソンに操られているのか?」
「俺がか?ないない。俺は奴が俺を超える最強の人物を作り出すのを待っているだけだ。だから、今はギブアンドテイクの関係だな」
「王様への忠誠心はないのか?」
「忠誠心?そんなものは最初からないね。俺が王様に仕えていたのはワクワクする黒の情報をいち早く掴むために決まってんだろ」
「いやいや、これはサンドラ・サキューバスではありませんか?僕はライ・エレクです。折角の機会、勝たせていただきます」
「ライ?ああ、一番興味がない奴か。己を一番に鍛えていない奴らには興味はない」
「なっ何と!僕を興味なし呼ばわりですか!許し難いです。今すぐ勝負ですっ」
「仕方ない。掛かってこい。死んでも後悔するなよ」
「いざ尋常に」
「「勝負」」
雷が鳴り響き一瞬で距離を詰めてサンドラを斬ろうとしているとサンドラが纏っていた炎が氷に変わりライの足を凍らした。そして、剣を一振りしようとしているのを確認したサルシアはライを瞬間移動させて横に並ばした。
「ライ。動くなよ。今から治す」
「おいおい、サルシア。俺はお前を殺さないとは一言も言っていないぜ」
サルシアに向かって氷の弾丸が飛んできていた。しかもご丁寧に螺旋回転をして。サルシアは二本目の剣、選択の剣でこの弾丸を斬った。そして、リザーリアのシックスセンスを弾く盾を鎧にして纏い、氷にしていたシックスセンスを無効化して凍った足を元に戻した。
「まあ、及第点だな。だが、今ので俺が言いたいことは分かったか。お前らはチートに手を出してしまっていることで弱くなっている。その典型がライ、お前だ。お前のシックスセンスなら今のは軽く弾かないといけないんだ。それができていないということが俺がお前に興味がなくて失望している原因だ」
「これはあ、どういう状況だあ?」
「ウールフか。俺はお前が嫌いではないが少し残念に思っている。シックスセンスの有能さに満足して己の鍛錬を疎かにしてしまっているところをな。本来ならもっとオーラの練度が上がっていないとおかしい。お前ら三人雑魚が集まったところで相手にもならん。俺が興味を示すのはさっきの龍人とツリトだけだな。ほれ、三人まとめて殺してやるから掛かってこい」
「それはいくら何でも僕たちを舐めすぎですね」
「僕は王様を守るために勝って見せる」
「俺はあ、こんな評価されたことは屈辱やわあ」
「さてと。何か雷も鳴り止んだしヤバいかも」
ツリトはオーラを纏うと左手の指輪を軽くデコピンしてカナの目の前に瞬間移動した。カナは急いでツリトの体を抱き上げた。
「ちょっ、ツリト君。どうしたの?」
「戦況を教えて欲しいのと、プレセント」
「戦況はかなりヤバい。キララの咆哮をまともに食らって生きている人間が現れた。そして、今、キララ以外の三人で対応してるけどかなり厳しい状態。そして、その人間は青髪で灰色のオーラだった」
「なるほど。カナ、ワンチャン狙える?」
「うーん。正直、厳しいかな」
「そっか。ちょっとポケットを見てみて」
ツリトはカナの腰に足を回して首に腕を回してギュッとするとツリトのポケットに入っていた二つの膨らみを手に取った。一つはポケットから持ち手が出ていたのですぐ分かっただろう。もう一つはネックレスだ。
「さらに純度が高い」
「そう。どう、いけそう?」
「全身を貫通させることはできるかもだけど死に至らしめるのは無理かもしれないよ」
カナは何故か顔を赤く染めていた。
「どうしたの?」
「カナは今までツリト君たちに嘘を吐いてた。皆には内緒にしてね」
カナの全身が黒い龍鱗を纏った。頭には金色の角が生えた。オーラ量が爆発的に跳ね上がった。
「どう?」
「普通に可愛い」
ちゅっ。
「やっぱ、硬いな」
「バカ。もう一つ隠してることがあるの。分かっていると思うけどエアウォークは嘘」
「そうか。おかしいとは思っていたんだ。黒なのにシックスセンスのできることがそれしかできないというのは。神速のライフルが目立っていたから皆そこには注目が集まらなかったけど」
「さすがツリト君。ちゅっ。カナのことちゃんと見てるね。キララはちゃんと気付いてたっぽいけど。カナのホントのシックスセンスはメモリブレット。自分以外のシックスセンスを弾丸に記憶させる。記憶は今まで見て来た人のシックスセンスならどれでもできる」
「ここから狙える?」
「あの男に確実に一発で当てるのは難しい。だから、お願いできる。ちゅっ」
「フン。俺を誰だと思っている」
「高いところが怖くて抱き着いている小さな男の子?」
「はははっ」
「ふふふっ」
「行って来る」
「行ってらっしゃい」
ツリトはカナから放れカナはツリトを放した。ツリトは自由落下に身を任しながら左手の指輪に軽くデコピンした。
キララは戦況を見て体が疼いていた。
キララが助けないと死んでしまう。でも、キララが行って死んじゃうとお腹の子たちの命が。どうしよ。行きたい。でも、行けない。え⁉
キララの右手の指輪とツリトの左手の指輪が触れ合った。ツリトはキララの腰に足を回して抱き着いた。
「ツリト⁉ちょっ、いきなり。なるほど。カナより硬いな」
ツリトはキララの頬を頬ずりした。
「龍鱗が少し痛い。でも、気持ちよくもあった」
「ちゅっ。もう。カナのことに気付いたのね」
「おう。今からあの男の気を引く。手伝ってくれ」
「もちろん。でも、何をしたらいいの?」
「数秒、いや、一秒でいい。奴をその場に止まらす。俺が合図したらもう一回あの咆哮を宜しく頼む」
「分かった。でも、気を付けて。三人はもうダメだから」
「フン。俺を誰だと思っている」
「高いところが怖くて抱き着いて来る小さな男の子?」
「デジャヴ⁉いっ行って来る。ちょっと俺を投げてくんない?」
「分かった。じゃあ、行っくよぉ」
ツリトは体の力を抜いて手足をブラーとさせるととキララは腰に回している手に力を入れて体を回転させて砲丸投げのようにしてサンドラ・サキューバスの元に飛ばした。
「お前ら、チートを取られたらこんなものか!」
サンドラは一人ずつ黒シリーズを奪った。まず、初めはライだ。同じように突っ込んできたライの足を凍らして手も凍らすと鞘と雷刀を奪って遠くに投げた。その隙にウールフが煙管で五感を奪おうとしたがサンドラは煙管を持つ手のオーラを凍らして煙管を奪い遠くに投げた。その背後で空飛ぶ剣がサンドラの腰を斬ろうと舞ったが後ろを見ずに剣の柄を握って見せた。そして、サルシアのオーラを凍らせるとこれも遠くに投げた。サルシアはその隙にライとウールフを瞬間移動で近くに運び凍らせているシックスセンスを弾いて手足を自由にした。
「クッ。マズイですね。僕らの攻撃が通用しない」
「俺もお、ちょっとダメだなあ。設定解除。ターゲット設定更新」
オーラ量が増えただけで効果は変わらなかった。
「僕はサポートに回り込もう。だから、死ぬ気で毎回掛かって行ってくれ」
「おいおい。今のお前らじゃ俺に勝てないんだから大人しく逃げたらどうだ?」
「逃がしてくれないだろうさ?」
「ははっ。違いねえ」
サンドラはウールフとライの後ろにいるサルシアの背後に回り込み後ろからサルシアの右腕を斬った。
「クッ」
サルシアは落ちた右腕を左手で掴み治癒を始めてくっつけた。
「遅いな。俺ならもっと早くできる。遅すぎる。今回は腕を斬ったが次からはどうなるか分からんぞ」
「遊ばれてますね」
「遊ばれてるなあ」
「お前たちは全くもってダメだな。これだけ待ってもオーラの練度がまるで上がらない。はあ。俺が少しでも期待したのが馬鹿馬鹿しい。決めた。ウールフとライの腕を一本ずつ斬るまでに俺が納得するまでオーラの練度を上げよ。それができぬならここで三人とも殺そう」
「二人とも、僕が時間を稼ごう。それまでに練度を上げろ。何が何でもだ」
「誰が誰に対して時間を稼ぐって?俺の才能を受け継いだだけだろ?」
サンドラとサルシアが鍔迫り合いをした。が、サルシアは力で敵うはずなく、すぐに押されてしまう。吹き飛ばされる前にサルシアは脱力してサンドラの足元に滑り込み足を払った。そして、そのまま選択の剣でサンドラのオーラを斬ろうとした時サンドラは刀を地面に突き刺し身を捻ってサルシアを蹴り飛ばした。そして、その様子をオーラの練度を上げながら見ていた二人はそれを止めてライは右腕にオーラを多く集めて一発に掛けて、ウールフも右腕にオーラを多く集めて一発に掛けた。
「まあ、妥当な判断だとは思うが反対の腕が脆くなるだけだぜ」
サンドラはライの右腕を狙った。ライはシックスセンスでオーラを弾く。
僕の力を知っていてそれですか。ホントに舐められてますね。
「ウールフ!」
「ああ」
「ハッ」
サンドラは二人の共闘を鼻で笑い、ライは右腕をわざと前に突き出し、ウールフは横からサンドラに攻撃を食らわすために爪を立てて目を見開き涎を垂らして舌を出した。
態々、右手を狙ってやる必要はないんだが狙ってやる。ウールフが楽しみだからな。
「へへっ」
サンドラは刀に少しだけ多めにオーラを纏わせると舌を出してまず、ライの右腕を斬った。ウールフの爪が首のすぐ前に数センチの距離まで来ていた。サンドラは脱力して足の力を抜かすとウールフの攻撃は空を引っ搔いて下から腕を斬られた。
「ふう。今のは中々の連携だったんじゃないの。お前らの思惑に乗ってやっただけが楽しかったぜ。そんじゃあ、約束通りお前らの命を貰うぜ。安心しろ。お前らの体は生き続けるだろうから」
サルシアは瞬間移動で戻って来ると二人と右腕も瞬間移動で自分の近くに飛ばした。
「ふう。逃げるよ。黒シリーズのところへ」
「させると思ってるのか?」
「があああああああああああああ、行けえええええ、サルシアあああああああああああ」
「ツリト⁉すまない。すぐに戻って来る!」
三人は消えてツリトはサンドラに頭から、腕でガードしているが、突っ込んでサンドラを飛ばそうとした。
「避けても良いんだが、受け止めてやるか」
ふう。何だか知らんがラッキーだ。ラッキーついでにワンチャン狙うか。
ツリトは頭をガードしている腕にオーラを纏ってそのまま突っ込んだ。
「くはっはっはっはっはっは。そういう心意気は嫌いじゃないぜ」
サンドラは両腕と両足にオーラを集中させて受け止める姿勢を取った。そしてとうとう激突した。
「クッ」
サンドラは地面に衝撃を逃がしながら勢いを殺していたが耐えきれなくなって地面に埋もれるように衝撃を食らってツリトの腕が溝内に入った。
「っしゃあーーー。撃破?ってわけにはいかないよな」
サンドラは何事もなかったかのように立ち上がり、土埃を払った。
「いやあ、やはり、見込みがある奴は派手な登場をしてくれるものだな。俺はツリト、お前が好きだぜ。だから、見せてやろう。オーラの可能性をな」
「オーラの可能性?」
「ああ。例えばこの炎。シックスセンスは炎を生み出すだ。だが、ある工夫をすることで進化する。いや、違うな。新たな可能性が生まれる。ツリト、お前はどうやってシックスセンスを使っている?」
「俺か?うーんとね。イメージの話なんだけどオーラとシックスセンスの球があってそこに糸を繋げる感じかな」
「なるほど。俺の場合も似たような感じだ。ではイメージの話をしよう。その糸を繋げるイメージだがベクトルはシックスセンスのほうに向かいながら力はオーラの方に掛けるイメージをするんだ。そうすればお前は更なる次元に行ける。こんな風にな」
サンドラは手のひらの上の炎を氷に変えた。
「俺はこれをアンチシックスセンスと呼んでいる。炎という事象を反転させて氷という事象を生み出す」
「へえ。初めて知ったよ。お前ってサンドラ・サキューバスだよな。それっていつ、習得したの?」
「生前だが?」
「エージソンには教えたの?」
「んや。教えてもできないからな。教えてないぜ」
「そうか。体は改造されてる?」
「不老不死以外は全くされてないが」
「んじゃあ、情報ありがとう。一回死んでる奴には負けたくないんでね」
「そうか。俺はツリトを殺したくないんだがな。どこからでも掛かって来い」
「それじゃあ、遠慮なくやらせてもらうよ」
ツリトは片眼鏡の力でツリトが何人もいるように騙した。サンドラの周りを囲んだ。そして、空間を斬る斬撃をサンドラに向かって飛ばした。
「オーラ増量ネックレスを使っているから片眼鏡の効果が上がってるな。いや、ツリト自身のオーラの練度の問題か。っお!ゾクゾクするねえ」
サンドラは四方八方からの斬撃を空間自体を崩壊させることで防いでいた。崩壊はサンドラ自身のシックスセンスである。
「なるほど。これほどまでのことをできるとは。いいねえ。これからどうしてくれるのかな。俺にはこれが効いていないぜ。おっ⁉もう適応している。さすがだ。近いうちに俺の領域まで届けるんじゃないか。さてと、そろそろ、俺も攻撃に移ろ…。ああん⁉気力が沸かない。ふう。気持ちを盛り立てろ」
サンドラは何とか気持ちを盛り立てようと過去にワクワクした瞬間を必死に思い出しに掛かった。その間も崩壊の力を別のシックスセンスで強めながら。だから、ツリトがもうこの場から離れていることにも気付かなかった。
「キララ!」
「ああん⁉キララ?」
壁の近くで隠れていたキララが浮上して喉と口元にオーラを集中させてさっきより鋭い咆哮をサンドラに放った。
「はあああああああああああああああああ」
「おいおい、この二つの攻撃をこのボロ刀で凌げって⁉はあ、面白いことしてくれるじゃないか」
絶望的な状況に立ちながらも獰猛にワクワクが隠し切れない様子で笑うサンドラは口から唾を垂らして極限まで集中力を上げた。
その様子を見たツリトは静かに笑った。ツリトは左手の指輪をデコピンしてカナの元に瞬間移動したと同時に上から人間の十倍ほどある大きさのオーラを纏った弾丸が瞬きをするより速くサンドラに向かって撃たれた。
「わっ!ツリト君」
「よくやった。カナ」
「でも、まだ分からないよ。カナが撃ったのは衰弱させるシックスセンスを記憶させたものだから」
カナは自身の身長の二十倍ほどの大きさの神速のライフルを片手で握っている。銃砲身が通常のサイズの五倍ほどあった。
「ああ。だが、俺たち三人の同時攻撃に耐えられるはずないだろう」
「だと、いいけど」
極限状態に陥ったサンドラは自身の崩壊をも斬る斬撃とキララの咆哮よりもっともっと危険な攻撃を察知した。これは、ライオンから得たシックスセンスだ。とにかくその感がサンドラに危険を知らせた。全身の毛が逆立った。誇張抜きに逆立った。だが、全身から溢れ出るワクワクが収まらなかった。
ふう。まずはオーラを増量して、氷の盾を何重にも重ねて刀に自身の崩壊のシックスセンスの力を最大限に乗せる。空間を斬る斬撃をパワーアップした崩壊で対処しつつ、龍人の咆哮を幾重にも重なった氷の盾で防ぎ、上空から迫りくる身が震えるほどの攻撃に備えた。来いっ!あん⁉いやいや、デカすぎだろうその弾丸。サンドラは弾丸を刀で両断した。つもりだったが刀は折れて弾丸が数センチの距離に近づいた。サンドラは咄嗟に崩壊のシックスセンスを反転させて、アンチシックスセンスに切り替えた。崩壊を反転させた能力は、再生。サンドラはとにかく肉体を再生することだけに集中させた。弾丸が命中した。
「よしっ。体は元通りだ。行くよ」
「ええ。と言っても僕たちのすることはもうないかもしれませんが」
「俺はあ、死ぬところを見ないと安心できない」
三人は黒シリーズをそれぞれ回収して、右手もくっついて回復している。そして、瞬間移動で現場に飛んだ。
「死んだかしら?」
砂埃でサンドラの姿が見えない。もしかしたら粉々になった可能性があるが楽観視することはできなかった。野郎ども三人も駆け付けた。砂埃が晴れた。そこには、白髪でよぼよぼのワイルドさが失った皴らだけの蒼目をした服が消失したサンドラが立っていた。それでも、オーラは練度が高く禍々しい。今も尚、ツリトの空間を斬る斬撃を空間を崩壊して無理やり受け止めている。時間の問題で倒せるがキララは考えずにもう一度、咆哮を放とうと肺を膨らました。が、サンドラは地面の空間を歪ませた。
「悪いな。こんなワクワクがあるのにここで死ぬのは勿体ない。またな」
ライが雷刀で首を斬るより速くサンドラは異空間に消えた。
「逃げられちゃった」
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