第3話
やっと見つけた金木犀は
既に剪定されて居た
呆然と立ち尽くしていると
歌声が聞こえて来た
泣かないでぇ〜泣かないで
振り返ると、橙色のヒガンバナ
泣かないでを熱唱している
それはそれで呆然としてしまう
ひとしきり歌い切った彼は
やあ、金木犀が見たかったのかい
残念だったね金曜に市の職員が
綺麗に剪定していったよ
でも大丈夫、まだそこかしこに
金木犀は咲いて居るよ
私を励まそうとして居るのか?
ところで知ってる?
この歌、
ヨリを戻そうっていう昔の女に
友達のままでいよう
俺はその気はねぇ、泣くなよ
って歌なんだよ
誰かを励ます歌じゃ無いんだよ
じゃあ、何で歌った?
いや、その、俺はただ
あんたが苦しそうにみえたから...
ごめん、君に当たるつもりは無かったんだよ
でもどうして君は除草されなかったの?
あんたが立ってる所が
ウチの街と隣り町の境界なんだよ
先週が隣り町の除草作業、今週がウチの街
来週の今頃、俺はもう居ない
「泣かないで〜泣かないで
抱き寄せてしまうから〜」
二人で「泣かないで」を歌った
(つづく)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます