彼女が良いじゃないんだ。

 「はいっ!」と、

笑顔で明るく返事をした彼女を見て、

彼女よりも可愛い子が良かったなあ、

なんて思っていた事を、

違う世界の俺と同じ姿で、同じ声、

同じ人生の彼は、話をして、

自分を欲しがって悔しがっている子から、

違う方向へ目を向け、それが無い人生の俺は、

『彼女』を捜す、

血の臭いが今でもしていて、

自分を庇って死んだ彼女を思い出し、

次は、あの世に居た、

彼女が本物か、分からないまま、

今の『彼女』と居る恋敵を見る、

彼女を庇って死んで、先にあの世にいた彼、

説長せつながを見て、

悔しくて堪らなくて、何度も思い出す。

俺をさん付けで呼んで、今、あ、って、

言います、と、言って、心を見せている途中で、彼女は、死んだ。

彼女より可愛い子がよかったとか、

思った事を、

彼女は悔しがってくれるかな、と、思いながら、説長と彼女が話をしているのを見て、

悔しくて、話しかけた。


そしたら、

『彼女』、いさごは悲しそうに、

俺を見た。

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