第22話

(あ…れ?)


あたしは、いつの間にか泣いていた。


声は出さずに涙だけがこぼれていく…。



目が慣れたとは言え、部屋が暗かったから相手には気付かれなかったけど。



(やだ…)


そんな自分に動揺してしまって、あたしはティッシュを取ると自分を拭いた。


背中を向けたまま。



『俺のも拭いてよ』


荒い息のまま、笑いながら言ってきた。



『あっ…ごめん!だよね!何やってんだろ!』


慌ててティッシュを取り、彼のを拭く。



そして、しばらく二人してボーとしていた。





(…やべぇ…あたし…)



あたし…。



やっちゃった!?…ありえない…。



客と『本番』はヤラナイって決めていたのに!


店でも本番…『入れるコト』は禁止だ。

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