響き、線となる

自己否定の物語

第1章:描けない私

 部屋の机に置いたスケッチブックの白紙が、やけに眩しく見える。

 ペンを握ったまま動けない自分に、ため息が出た。


 描きたい気持ちはある。いや、むしろ溢れるくらいにある。頭の中には何度も浮かんでは消えるイメージが詰まっているのに、いざ形にしようとすると全部がバラバラになって、どこから始めればいいのかわからなくなる。


「もっと自由に描けたらいいのに…」


 そう呟いてみたところで、何も変わらない。ペンを紙に落とすのが怖い。失敗したくない。でも、描かないと進まない。この堂々巡りがどれだけ続いているんだろう。


 結局、手の中のペンを置いて、机に突っ伏した。視線の先にはスマホの画面。スクロールするたびに目に飛び込んでくる、完成度の高いイラストたち。みんなこんなに上手なのに、私は何もできていない。


「私なんかが、これを仕事にしたいなんて、笑っちゃうよね…」


 呟いた言葉が自分の耳に刺さる。今の自分はただ描けない言い訳をしているだけ。頭ではわかっているのに、どうしても動けない。


 手元のスマホをぼんやりといじりながら、画面をスクロールしていた。その時、目に留まったのは見慣れないタイトルの記事だった。


「迷いを消す5秒ルール。行動が変われば人生が変わる」


 興味を惹かれ、指が自然と画面をタップする。記事にはこう書かれていた。


「何かをやりたいけど怖い、迷っていると感じたら、その場で5秒数えること。『5、4、3、2、1』と心の中で数えたら、すぐに動いてみて。行動が思考を変える第一歩になる。」


「こんなの、本当にできるの?」

 目を細めながら読み進めるけれど、心の中で少しだけ引っかかった。


「5秒数えるだけ…それなら、私にもできるかもしれない。」

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