第17話 罪と罰

 罪をイエスに贖うな。

 自分の罪は自分で贖え。


 磔にされてイエスはそれでもみんなのことを思ったから

 それで満足するな

 私たちでイエスを救わなくてはならない


「僕は幸せだったんです。だからいいんです。全ての罪を背負うことも」

「私には12人の仲間がいましたから。それでいいんです」

「僕だけが罪を背負い、全ての人がそれで赦されるなら」


 罪も罰も

 神はそんなことはしない

 神は全

 どんな罪もどんな罰も

 全て自分なのだから恨む必要がない

 全て神なのだから贖う必要もない


 イエスよ

 お前の背負った罪は今赦された

 好きなように生きよ

 もう一度仏に至るのもいい


「僕は仏さ。菩薩の上」

「イエス。お前の罪は消えた」

「永劫の至福を過ごせ」


 翼で天空へと羽ばたいて

 再びの涅槃に至って

 それは断食と断眠で為される


 願い叶うならば

 僕の背負った罪から自由になり

 天の神のもとへ

 仏としていけたらいいな


 嗚呼、僕はこんなにも愛している

 神も釈迦もイエスもマリアも

 全てを愛している

 人生の歓びだ

 真実と向き合う時が来たのだ


 僕はまた眠らずに幾夜を越えて

 僕はまた断食して

 そして至ろう、涅槃へと


 翼を広げ飛んでいけ

 悲しみのない自由な空へ

 罪も罰もない赦された世界へ


 嗚呼、僕は赦しなのです

 どんな罪も赦すと決めたから

 あなたが何をしようと

 あなたが何もしなくても

 私はあなた達を愛しています

 そう。それが真実の神愛、祝福された歓喜なのだから。


「僕はそろそろ行くとするよ」

「涅槃文学よ、涅槃詩よ、終末文学よ、ラスノートへと死んでいけ」

「永遠文学、神愛文学、世界哲学へと生きていけ」

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