第12話
スカートが見つからずブラウス姿のまま寝室を出る。
寝室だけでも十分良い部屋だと思ったけれど、通路を抜いてリビングへ足を運ぶと、すぐに高級マンションの一室だと悟る。
「(ほんとに、ここはどこ……?)」
辺りを見回しながら立ち尽くしていれば、がちゃりと後ろの扉が開く。
振り向いた先には、昨日の男。
すらりと長身にスタイルの良さを際立たせる脚の長さ。小さな顔に長い手足。放つオーラが常人から並外れている上に、その顔は人形のように整っている。
昨日と違うのは前髪がセンター分けで、バーと闇夜と暗がりの時は暗めに見えた髪色が実はレッドバイオレットだったということ。
男はブラウス1枚の私を見つめ特に表情を変えず、鼻で笑う。
「お前、今までスタンダードなセックスしかしてこなかったんだな」
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