砂糖ひとつ

珈琲を一つくれないか

いやどうもありがとう

砂糖も五つくれないか

いや本当にありがとう

砂糖を一つ、まだとける

砂糖を一つ、まだとける

砂糖を一つ、そら少し粘ってきた

砂糖を一つ、底でざらざら音が鳴る

砂糖を一つ、もう溶けきることはない

どうだろう君、こんなに甘くなっちまって

どうだろう君、珈琲はこんなに黒いままで

砂糖はこんなに白いのに

憐れなやつだと思わんか

思わんか

そうかそうか、たしかになあ

こんなに甘くなったもんなあ

それならちったあ報われたか

なあ君

もう一つ砂糖をくれないか


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