決闘に勝利

 俺がこの元傭兵であるジョーンに勝つ事でジョーンが俺達の道場作りを手伝ってくれる事になる条件が追加され、シーナの為にも益々負けられない戦いとなった。やっぱり槍のリーチは長く、懐に飛び込む隙も中々見えないな。


 これ程の腕がありながら何でこいつは傭兵が廃業されたんだ?


「おい、それ程の腕があるならわざわざ俺の名前を使わないでも仕事があったんじゃないのか、それに追い出されたって」

「それはあんたが俺に勝ったら教えてやるよ、まずは俺に近づく事ができたらだけどな」


 また槍を振り回してきた。これでは近づけないな、仕方ない奴の武器を破壊する方向に作戦を変えるしかない。


「うおおおお!」

「正面切ってきやがったか!ん?」


 俺の狙いに気付いたのか、咄嗟に剣をかわして距離をとると俺の狙いを見透かした発言をする。


「明らかに俺じゃなくて俺の槍を狙ってたな、なるほど武器の破壊という行動に出たか」

「くっ、見破られたか」

「狙いはいいけど、リスクもあるぜ、逆に自分の武器の方が破壊される事だってあるしな」

「確かにそうだな、だがそれは武器か自分の腕が劣っている場合に限るがな」


 この数回の立ち合いで分かった、武器の違いはあるが、こいつより俺の方が強い。そして俺ならばこいつを圧倒する技があるから使わせてもらうぞ。


「ジョーン、確かにお前の槍の腕前はすごい!だがこの決闘は俺が勝つ!」

「何!」

「今見せてやる、俺の剣技の奥義をな」

「お、奥義だと!」


 もちろん俺の奥義、それはソードザブレイキングだ、安心しろ、俺ならばお前の槍だけを切れる。


「くらえ!ソードザブレイキング!」

「な、何!」

「師匠!」


 俺の気を纏った剣は見事にジョーンの槍を破壊する事に成功した。ソードザブレイキングは剣の威力だけでなく、振る速さも高まるからさすがにかわしきれなかったか。


「あ、あああ……」

「村長、この決闘俺の勝ちだな?」

「あ、ああ、勝者リッキー!」

「やったーー、やりました師匠!」


 嬉しさのあまりシーナが俺に抱き着いてきて、戸惑った俺はシーナに離れるよう声をかける。


「おい、シーナあんまりくっつくなよ」

「すいません、でも嬉しくってつい」

「ほほう、若いのはええのを」

「村長も何を言ってんだ!さ……」


 村長の軽口を受け流しつつ、ジョーンに声をかけようとするとジョーンは突如叫びだした。


「チキショーーーーー!負けたーーーーー!」

「ジョーン、この勝負は俺が勝ったが、お前なら……」

「違えよ、俺は傭兵ギルドから追放された、それが間違いだったと証明する為に……名を挙げねえとダメだったのに!」


 一体、このジョーンに何があったんだ。

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