木剣から真剣へ

 とりあえず俺とシーナはドラゴン退治で得た報酬の多くを資材の代金として街の商人に支払い、資材を運んでもらう事となった。


 一度に全部届くわけではなく、少しづつ必要な資材を届けてもらうようにお願いはしている。まずは建物の土台になる資材、丈夫な石等を届けてもらうことになっているが、時間はかかるとの事なので、その間に俺はシーナに剣の稽古をつけながら待つ事とした。


「えい、えい、たーーーー!」


 シーナは勢いよく俺に対して木剣を打ち込もうとするが、俺は全て防ぎ切り、シーナは疲れ果てて、降参の意を示す。


「はあ、はあ、こ、降参です」

「シーナ、勢いはいいけど、疲れてくれば来るほど、焦りが出て攻撃が単調になっているな、それじゃあ俺どころか、魔物の討伐も難しいぞ」

「そ、そんな、素振りとかは結構うまくなったのに」

「うん、実際素振りとかで木剣のブレとかは少なくなっているし、剣の扱い方そのものには慣れて来たかな」


 木剣の扱いには慣れてきたように見えるし、ここで段階を引き上げてみるか。


「シーナ、そろそろこっちを使ってみるか」

「これは真剣じゃないですか⁉」

「ああ、そろそろ真剣を使った修行を取り入れてもいいかなと思って、シーナに合いそうな剣を買っていたんだ」

「ありがとうございます、師匠」


 シーナの奴、すごく喜んでいるのが伝わっているな。


「ただ、まだ実戦修業は木剣でするし、修行内容によって真剣と木剣の使い分けはしていくからな」

「はい!」

「それじゃあ今日はもうここまでにして、明日から真剣を使った修行を早速していくぞ!」

「はい!今日もありがとうございました!」


 まだまだ不安な所はあるが、少しづつシーナにも真剣にも慣れてもらわないとな、さて、明日からの修行は少し大変だな。


 真剣の修行となると危険性も増すし、その辺りからシーナにしっかりと指導しないとな、もしもシーナが村人にケガを負わせたりなんかしたらそれは俺の責任だしな。


 そんな事を考えながら翌日を迎え、朝に畑仕事や野菜売りを終わらせると昼からシーナの修行を開始する。


「さあ、シーナ、昨日話したように今日から真剣での修行を開始する」

「はい!よろしくお願いします!」

「まずは真剣での素振りだ、要領は木剣と同じだが、木剣より重くなっているからそこに注意しろよ!」

「はい!」


 掛け声とともに、シーナは真剣での素振りだ、やっぱり少しブレはあるが、木剣での素振りの効果は出ているな。道場を早く建ててもう少しちゃんとした修行、それからシーナにも修行仲間は必要かな。

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