立ち合いの修行
道場建設に必要な費用を賄う為の報酬の支払いはもう少し先になるという事で俺は少し早いがシーナに剣の修行をつける事にした。素振りをさせてみたが必要以上に力が入っている事を指摘し、その上でもう1度剣の素振りをさせてみた。
「それじゃあシーナ、もう1度やってみろ」
「はい、師匠!」
お、さっきよりはいい感じだな、それにしてもなかなか飲み込みが早いな。これは上達も早いかもな。
「なあシーナ、素振りばかりじゃあつまらないだろうから、少し立ち合いをしてみるか」
「立ち合い?」
「簡単にいうと、剣と剣での試合形式での稽古だな」
「え?ま、待ってください、さすがに師匠と私じゃあ勝負になりませんよ」
まあそう言うだろうなと思ったし、もちろん俺はそこら辺もちゃんと考えている。
「心配するなシーナが攻撃をしてきても俺は一切反撃をしない、俺に一撃入れるか、シーナが疲れ切るかの勝負だ」
「おお、それなら私でも勝てるかもしれません、やりますやらせてください!」
「元気が出てきたなシーナ」
「ふっふっふっ、師匠私が勝ったらあのドラゴンを倒した奥義を教えてもらいますからね」
なんて調子の良いやつなんだ、だけどまあいいや少し調子にのらせておいても。
「いいぞ、俺に一撃を入れられたらな」
「言いましたね、さあ早速始めましょう!」
シーナがそう言うと俺は木剣を構え、シーナに呼びかける。
「さあ、シーナ、どこからでも来ていいぞ!」
「それじゃあ行かせていただきます!」
そう言いながらシーナは俺に対して木剣を振うが、俺は自分の木剣でシーナの攻撃を防ぐ事に成功する。
「くう、でもまだまだこれからです」
その後もシーナは続けざまに俺に対して木剣を振ってくるが、俺は全て防ぎ、受けきれないと判断した攻撃はかわしてもいた。
「早い!私が目で追えない速さで動くなんて!」
「どうしたシーナ、それじゃあ俺に一撃を喰らわせないぞ」
「ううう!たああああ!」
ふふふ、勢いはいいが、やっぱりまだまだ動きに隙が多いな。もし、同条件なら多分3回は打ち倒しているな。
それからも何度かシーナからの攻撃はあるがさすがに疲れ果てて、シーナは降参の意志を俺に示した。
「はあはあ、参りましたもう動けません」
「終わりか、普通の人より体力もある事を差し引いても初めてにしては上出来だったと思うぞ」
「師匠、動きも早いですし、攻撃も見切られていますからそれで焦りすぎましたね」
「まだまだ修行あるのみだな当面は素振りと立ち合い、それから魔物討伐の手伝いも修行にいれるとするか」
少しづつシーナの剣の修行をしながら道場建設ができるその日を待つとするか。
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