転生したらカンガルーだったけど、スキル『空想実現』で悠々自適に暮らしてます
いずいし
第1話 不親切な転生?
いつもと変わらず、客の案内を終えて帰社する道の途中だった。
停止線で信号待ちの合間にスマホをいじる。
あ、新刊が自動購入されてるな。会社の帰りに見よう。そんな事を思いながら、他のメールを目で追っていると、急に後ろからクラクションを鳴らされた。
やばっ!信号変わってたのか?!
慌てて発進しようとして目線を上げると、そこには正面からダンプカーが迫って来る光景がフロントガラス一面に広がっていた。
……いやこれ………クラクション鳴らして知らされてもさぁ………。こちとら軽自動車よ?
諦めと絶望を頭に浮かべた時には、俺の乗っていた軽自動車はダンプカーに乗り上げられ、そのまま押し潰された。
◆
………………………(………見知らぬ天井……も何も無い空間か…………ここ何処よ?)
「鯨井 春。目覚めたなら選ぶが良い」
「(へ?!え??だ、誰?誰が居たんだ??)」
声の聞こえた方に目を向けると、ジーザス的なオッサンが立っていた。
そして、その前には丸い口が開いた箱が3つ並んでいる。
「…………能力が不要であるなら、このまま転生させるぞ?」
「(いや、待って!!いる!要ります!!)」
何の説明も無いが、貰える物があるなら選ばせて下さい!!本当は転生とか能力とか、詳しく説明して欲しかったけど、どうやらそんなサービスは頂け無いらしい。
よく分からないけど、どうやら俺は死んだらしいし、ここは素直に能力とやらを貰って、次の人生を生きよう。そうしよう。
左から順に箱に手を入れ、触れた物を取り出す。ビー玉みたいな球だった。出て来たのは緑と茶と紫色の球。
「飲むがよい」
「(ええ?!飲むの?!これを?!消化不良でそのままケツから出ちゃいそうなんですけど?!)」
「…………………………………」
「(……くっ!飲みますよ!飲むしかないんだろ?!)」
水も無く、無理やりそのまま球を飲み下すと、そこで俺の意識は途切れてしまった。
くそ!結局何の説明も、質問も出来なかった!不親切の極み!!
これで不遇転生だったら恨むぞ!ジーザス!
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