第17話 解放者たちの決意

 薄暗い会議室に、解放軍の主力メンバーたちが集まり始めていた。壁には簡素な作戦資料が貼られ、中央のテーブルには収容所の立体地図がホログラムで浮かび上がっている。部屋には言葉にできない緊張感が漂い、それぞれが黙々と準備を進めていた。

 涼は部屋の隅に座り、初めて参加する本格的な作戦会議に圧倒されていた。隣には瑠璃が座り、緊張している彼女に気づいて微笑む。

「怖い?」

 瑠璃が小声で尋ねた。

「少し……」涼は正直に答えた。

「そりゃ普通だよ。でも、大丈夫。怖いままでも、ちゃんと動けるようになるから。」

 瑠璃の言葉は軽い調子だったが、その目には確かな自信が宿っていた。

 そのとき、重い足音が響き、部屋の空気が一瞬にして変わった。柳川龍一が入室したのだ。黒い軍服に身を包んだ彼の姿は威圧感に満ちており、若い兵士たちは自然と背筋を伸ばした。

「柳川さんって、どんな人なの?」涼が瑠璃に囁いた。

「元陸軍少将。戦争の、本物の修羅場をくぐり抜けてきた人。私たちとは次元が違う。」瑠璃の声には、尊敬と一抹の恐れが混じっていた。

 柳川は無言のままテーブルの一角に腰を下ろし、ホログラムに映る収容所の地図をじっと見つめていた。その視線はまるで鋭利な刃のようで、どこか冷たいものを感じさせた。

「全員揃ったようね。」田川凛が静かに言った。

 その言葉を合図に、会議室の扉が閉ざされ、場内がさらに静まり返る。

「まずは、現在の状況を確認する。」

 田川凛の静かな声が会議室に響いた。その声は柔らかさを失い、冷静で的確な響きを持っていた。彼女はホログラムの収容所地図を指し示しながら続ける。

「目標は熊本県北部、福岡県との県境に位置する第六収容所。この施設には約500名の魔法使いが収容されており、同時に国家による実験場としても運用されている。今回の作戦の成功は、単なる解放以上の意味を持つ。」

 凛の声にはためらいがなかった。その一言一言が、作戦の重要性を鋭く突きつけていた。涼は凛の言葉を聞きながら、小さく息を呑んだ。彼女にとって、単なる数字の羅列でさえ、恐ろしく感じられるほどの規模だった。

 凛が一呼吸置いて、会議室を見渡す。

「この作戦で我々が直面する敵戦力は、決して少なくない。だが、この収容所を制圧し占領することは、解放軍として次の一歩を踏み出すための必須条件だ。」

 一瞬の静寂の後、凛の視線が柳川に向けられる。

「柳川さん、追加で補足すべきことはありますか?」

 柳川龍一はゆっくりと椅子から腰を浮かせ、重々しい口調で応えた。

「数字を恐れるな。どれだけ多くの兵士がいようと、彼らの指揮系統を崩せば防衛ラインは脆い。重要なのは、いかに迅速に突破するかだ。」

 その一言は、まるで戦場そのものの冷たさを持つかのようだった。彼が言葉を発するたびに、会議室全体が少しずつ引き締まるように感じられた。

「その通りです。」凛が短く頷き、ホログラムの操作を続ける。

「では、具体的な敵戦力の分析に移ります。」

 ホログラムに投影された収容所の全景が、徐々に拡大されていく。田川凛が収容所の外周を指差し、静かに口を開いた。

「まず、この収容所は広大な敷地を持つ。そして、それを囲むようにして配置されているのが、魔法庁執行局第九課、通称『孔雀隊』。この部隊は、執行局の中でも選りすぐりの精鋭で構成されている。現在、彼らの主力である魔導機『鬼切』4機が外周ラインを巡回中だ。」

 凛がホログラムを操作すると、収容所外周部に配置された4つの赤い点が強調された。

「鬼切は高い機動力と近接戦闘力を備えており、魔導機同士の戦闘では特に警戒すべき相手だ。外周突破の最大の障害となるだろう。」

 会議室が静まり返る中、凛はさらに内側を指した。

「さらに、市街地には福岡県警と熊本県警の機動隊が待機している。魔導機『雷切』が計14機、警察用装甲車が8台、そして200名の機動隊員が増援として投入される可能性が高い。」

「雷切……。」瑠璃が小さく呟いた。彼女は解放軍に参加する前にその存在を耳にしていた。抑圧を象徴する機体だ。

 凛は続ける。

「雷切は警察向けに調整された魔導機だけど、それでも私たちの霞切改型では圧倒される可能性が高い。さらに、機動隊員たちは収容所周辺で厳重な警戒を続けており、侵入経路の確保は容易ではない。」

「つまり、直接の戦力で勝てる見込みは薄いということですね。」颯太が静かに言った。

「その通り。」凛が頷いた。

 凛がホログラムを操作し、収容所の外周と内部を順に指差した。

「だからこそ、私たちの作戦は陽動と局所突破を基本とする。正面突破は不可能だが、陽動によって敵を分散させることができれば、突破の糸口は見えてくるはずよ。」

 このタイミングでミナトが前に出た。

「田川、ここからは俺が説明する。」

 凛が短く頷き、席に戻る。会議室内の視線がミナトに集中する中、彼はホログラムの収容所地図を指しながら説明を始めた。

 ミナトはホログラムの中央に立ち、全員の視線を集めた。その姿には迷いがなく、鋭い集中力が漂っていた。

「俺たちの目標は、収容所の完全占領だ。」

 ホログラムに投影された収容所の全景が拡大され、赤い点で敵の配置が表示された。

「収容所を守る敵の主力は、魔法庁執行局第九課、通称『孔雀隊』の魔導機部隊。そして市街地に展開する福岡県警と熊本県警の魔導機部隊だ。この二つを同時に相手取るのは不可能だが、それぞれの弱点を突くことで勝機はある。」

 ミナトの指がホログラムの外周を指し示した。

「まず、孔雀隊を抑える。これを俺と涼の二機で引き受ける。」

 涼が一瞬驚きの表情を浮かべたが、何も言わずにミナトを見つめた。

「孔雀隊は執行局の精鋭で、近接戦闘に特化した魔導機『鬼切』を運用している。奴らは高い機動力と防御力を持つが、逆にそれが奴らの制約にもなっている。」

 ホログラムが鬼切の性能特性を表示した。

「俺の焔が奴らの正面を引きつける。その間に涼の村雨が側面と背後を狙い、孔雀隊の動きを崩す。村雨のスピードと精密な攻撃なら、鬼切の防御を突破できる。」

 涼が静かに手を挙げた。「……私にできるでしょうか?」

 ミナトは彼女を見つめた。その眼差しは鋭くもどこか温かいものを感じさせた。

「できる。村雨は、お前の手でその可能性を引き出せる機体だ。俺が指示を出しつつ援護する。お前は、思うように動く。それだけでいい。」

 涼は一瞬迷ったが、しっかりと頷いた。「わかりました。」

 ミナトは次に、ホログラムを市街地の地図へと切り替えた。

「次に、市街地の警察部隊を抑えるのが瑠璃と颯太だ。」

 ホログラムに赤い点で示された魔導機『雷切』の配置が浮かび上がる。

「雷切は警察向けに調整された魔導機だが、その火力と精密性は侮れない。瑠璃、お前は高機動戦で奴らを翻弄しろ。雷切の連携を崩せば、一機ずつ撃破するのは難しくない。」

 瑠璃が口角を上げた。「派手にやらせてもらうよ。」

 ミナトは視線を颯太に向けた。「颯太、お前は蒼鷹の長距離射撃で支援しろ。遮蔽物を使いながら、的確に狙え。雷切は装甲が薄い部分がある。お前ならそこを撃ち抜けるはずだ。」

 颯太が笑みを浮かべながら頷いた。「了解しました。俺の腕前、見せるときですね。」

 ホログラムが収容所内部を拡大し、霞切改型4機の侵入ルートを表示した。

「最後に、突入部隊だ。」

 ミナトの指が収容所内部をなぞる。

「霞切改型4機は、田川を中心に突入を主軸とする。内部には警察の歩兵部隊が待ち構えているが、霞切の火力と機動力で押し切れる。田川、突入部隊の指揮は任せた。」

 田川が冷静に頷く。「お任せください。収容者の解放を最優先で進めます。」

 ミナトは全体図を戻し、収容所と市街地を俯瞰するホログラムを表示した。

「最後に、撤退と占領維持だ。孔雀隊を撤退させ、警察部隊を市街地へ押し返した後、収容所を占領する。そのためには全員が自分の役割を果たす必要がある。」

 ミナトは全員を見渡し、力強く言った。

「この作戦は危険だ。だが、成功すれば、俺たちは初めての勝利を掴める。命を懸ける覚悟を決めてくれ。」

 静まり返る会議室の中、誰もがその言葉の重みを感じていた。瑠璃がニヤリと笑い、静かに呟いた。

「派手にやるのが解放軍の流儀ってわけね。」

「いい作戦だ。」

 低く響く声が会議室に落ちた静寂を破った。柳川龍一が椅子を軋ませながら立ち上がり、その鋭い眼差しを全員に向ける。

「だが、それだけでは不十分だ。」

 瑠璃が顔を上げ、眉をひそめた。「不十分って、どういう意味ですか?」

 柳川は静かに歩み寄り、ホログラムの収容所地図を見据えた。

「君たちが収容所を解放し、占領する。それは解放軍としての勝利と言えるだろう。しかし、その行動の意義を示さなければ、単なる反乱として歴史に刻まれるだけだ。」

 会議室に再び重い沈黙が訪れる。ミナトは腕を組みながら柳川をじっと見据えた。

「具体的には?」

 柳川はホログラムを指し示しながら、冷静に言葉を続けた。

「この作戦と同時に、犯行声明を発信する。その声明の中で、収容所内部で行われていた非人道的行為を公にする。そして、私の名を使う。」

「柳川さんの名前を?」田川が眉を寄せた。

 柳川は短く頷く。「そうだ。私の名前は軍内部でも知られている。その名が解放軍と結びついたと知れば、軍内部にも動揺が走るだろう。」

「つまり、内部から揺さぶるってことか……。」颯太が静かに呟いた。

 瑠璃が腕を組んで柳川を見上げた。「それは確かに効果的かもしれない。でも、危険すぎるんじゃないですか?柳川さん自身が狙われることになる。」

 柳川は瑠璃の言葉に表情一つ変えず、ただ静かに答えた。

「危険は承知の上だ。それでも、これが最善だ。解放軍がただのテロリストと見なされるのを防ぐためには、正当性を示さなければならない。」

 田川が口を挟む。「しかし、声明が軍内部に与える影響は確かに大きい。だが、柳川さんが前線に立たなくてはならない状況で、そのリスクをどう抑えるつもりですか?」

 柳川は短く笑った。「リスクを取らなければ勝利はない。私の役割は声明を通じて敵の動揺を引き起こし、戦線を崩すことだ。それが可能なら、命など惜しくはない。」

 その言葉に会議室の空気が一層張り詰める。

 ミナトがゆっくりと口を開いた。「……田川、柳川の提案を作戦に組み込む場合のシミュレーションを頼む。」

 田川は驚きながらもすぐに冷静な表情に戻り、頷いた。「了解しました。すぐに調整案を出します。」

 柳川がホログラムの地図を見つめながら低く呟いた。

「この作戦が最後の戦いになっても構わない。だが、未来に何かを残すためには、この名を使う価値がある。」

 田川がホログラムに向き直り、迅速に操作を始めた。収容所を中心に周辺エリアの地図が広がる。彼女の冷静な声が会議室の緊張感を切り裂いた。

「柳川さんの提案を基に、声明発信のタイミングを作戦に組み込む場合の最適な流れを示します。」

 ホログラムの地図に、赤い線と青い円が交差する形で表示された。

「声明発信は、孔雀隊と警察部隊が分断され、収容所が実質的に解放された瞬間が最も効果的です。敵の防衛ラインが崩壊し、我々の勝利が明白になったタイミングで発信すれば、より大きな影響を与えることができます。」

 ミナトが腕を組んで頷いた。「そのタイミングなら、敵の混乱を最大限に引き出せるな。」

「そうです。ただし、これには条件があります。」田川がホログラムを指差しながら続ける。

「柳川さんの名前を使う以上、声明は高度な説得力を持たせる必要があります。そのために、収容所内部の証拠を映像として同時に公開する必要があるでしょう。」

 颯太が眉を上げた。「つまり、収容所の制圧が遅れれば、声明の効果も薄れるってことか。」

「その通りです。」田川が静かに答えた。

 瑠璃が感心したように頷いた。「それなら、私たちがただ騒ぎを起こしてるだけじゃないってことを示せる。」

 ミナトが田川に向き直り、短く指示を出す。「声明の内容はどうする?」

 田川が柳川に視線を向けた。「柳川さん、ここはあなたの言葉が必要です。」

 柳川がゆっくりと頷き、静かに言葉を紡いだ。

「我々は魔法使いの解放者だ。この戦いは、収容所で行われた非人道的な行為を暴露し、我々の自由を求めるため戦いであることを宣言する。その上で、国家に対し魔法使いへの弾圧政策の停止と、収容所の全面廃止を要求する、と。我々の思いを伝えよう。」

 その言葉に、会議室が一瞬静まり返った。ミナトが口を開いた。

「強いメッセージだ。だが、それが必要だな。」

 柳川がミナトを見つめ、低く笑った。「弱い言葉では敵を動かすことはできない。」

 ミナトが全員を見渡し、最後の一言を告げた。

「全員、覚悟はできているな。この作戦は、ただの戦闘じゃない。未来を変える戦いだ。」

 全員がそれぞれの役割を再確認するように小さく頷き、会議室には再び静寂が訪れた。その静けさの中に、確かな覚悟が宿っていた。


 涼は村雨のコクピットに座り、膝を抱えて小さく震えていた。戦場に立つのは初めてで、相手は孔雀隊という精鋭。頭の中を渦巻く恐怖が、彼女の意志を押しつぶそうとしていた。

「私は……大丈夫……やれる……。」

 何度もそう自分に言い聞かせるものの、想像するのは失敗の光景ばかりだった。

 そんなとき、格納庫の扉が開く音がした。

「涼、入るぞ。」

 落ち着いた低い声が、彼女を現実に引き戻した。ミナトだった。

 彼はコクピットの手すりに手を置き、じっと彼女を見つめた。

「怖いか?」

 涼は戸惑いながらも、正直に頷いた。「……はい。怖いです。でも、やらなきゃいけないってわかっています。」

 ミナトは軽く息を吐き、静かに微笑んだ。「それでいい。怖いのは悪いことじゃない。」

 彼の言葉に、涼は少し安心したように見えたが、ふいに尋ねた。「ミナトさんは……なぜ戦おうと思ったんですか?」

 ミナトはその言葉に表情をわずかに曇らせた。彼の目が一瞬遠くを見るように逸れる。

「……そうだな。」彼は慎重に言葉を選ぶように話し始めた。「俺が戦う理由は……過去を整理するため、かもしれない。」

 涼は首を傾げた。「過去を……整理?」

 ミナトは苦笑し、手をコクピットの外壁に置いた。その仕草には、どこか自分を抑え込むような感情が滲んでいた。

「俺には……いろいろと置いてきたものがある。自分の中で、まだ整理できていない過去がな。」

「それって……?」涼がさらに尋ねようとしたが、ミナトは静かに首を振った。

「気にしなくていい。ただ、一つだけ言えるのは、俺は戦うことでしか、それを整理できないということだ。」

 彼は短く息を吐き、続けた。「涼、お前もいずれ気づくだろう。戦場に立つ理由は人それぞれだ。守りたいものがある人もいれば、過去から逃げたいだけの人間もいる。俺は……そのどちらでもあるのかもしれない。」

 涼は彼の言葉をじっと聞き、静かに問いかけた。「それでも……戦うんですか?」

 ミナトは彼女を見つめ、少しの間沈黙した後、ゆっくりと頷いた。「ああ。俺にとって、それが進むしかない道だからだ。」

 涼はその言葉の重さを感じた。彼がこれまでにどれほどのものを背負ってきたのか――彼が語らないその背後には、計り知れないものがあるのだと。

「私も……頑張ります。」涼は少しずつ気持ちを切り替え、力強く言った。「私も守りたいもののために、戦います。」

 ミナトは彼女を見つめ、わずかに微笑んだ。「それでいい。怖さを力に変えろ。」

 格納庫を出ていく彼の背中を見送りながら、涼は深く息を吐き、「絶対に……守る。」と静かに誓った。その言葉には、彼女自身も驚くほどの強い意志が宿っていた。


 格納庫の上部通路では、瑠璃と颯太が並んで立ち、整備班の作業を見下ろしていた。彼らの魔導機が次々と最終調整を終え、戦闘準備が整っていく。

 瑠璃は頬杖をつきながら、軽い口調で呟いた。「さて、いよいよね。本当に大丈夫かな?」

「何だよ、それ。」颯太が眉を上げた。「お前がそんな弱気なこと言うなんて珍しいじゃないか。」

「いや、別に不安ってわけじゃないけど……。」瑠璃は視線を魔導機に向け、真剣な表情に変わった。「今回は、失敗が許されないでしょ。いつものノリだけじゃ駄目な気がするの。」

 颯太はしばらく黙っていたが、やがて肩をすくめた。「確かにそうかもな。でも、俺たちがやることは変わらない。相手を倒して、仲間を守る。それだけだ。」

 ミナトは焔の整備を確認するため、格納庫の片隅に立っていた。その背後から柳川龍一が現れ、重い足音を立てながら近づいてくる。

「調子はどうだ?」柳川が低い声で尋ねる。

「問題ない。」ミナトは簡潔に答えた。

 柳川は短く頷き、焔を見上げた。「この作戦がうまくいけば、収容所は解放される。だが、その後の未来はまだ何も保証されていない。」

「わかっている。」ミナトは冷静に返した。「俺たちはただ、次の一歩を踏み出すだけだ。」

 柳川はその言葉を噛みしめるように頷いた。「いい覚悟だ。だが、覚悟だけでは乗り越えられないこともある。特に、お前のような人間にはな。」

 ミナトは柳川の言葉に一瞬だけ目を細めたが、すぐに視線を焔に戻した。「だからこそ、俺は戦う。それ以外にできることはない。」

 柳川は少しだけ微笑み、短く言った。「お前がそう言うなら、俺も信じよう。」

 整備を終えた格納庫は、突如として訪れた静けさに包まれていた。魔導機の整備員たちが持ち場を離れ、緊張感と期待感が空気を満たしている。

 涼は村雨の傍で立ち尽くし、深く息を吐いた。彼女の胸にはまだ恐怖が残っていたが、それでも彼女の目には確かな決意が宿っていた。

「全員、準備を整えろ。」ミナトの声が格納庫全体に響く。

 涼、瑠璃、颯太、そして解放軍の人々。それぞれが最後の一瞬を共有し、目線を交わす。その瞬間、彼らは皆、自分たちがこれから踏み出す戦場に心を定めた。


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