第10話 自分らしい目標を見つけるということ
目標を持つことは大切だと言われます。でも、パーソナリティ障害を抱えていると、「自分らしい目標を見つける」というのは簡単ではありません。社会の基準に合わせようとすると自分を見失い、逆に何をすればいいのか分からなくなることもあるからです。
私も長い間、「自分にとっての目標って何だろう?」と迷っていました。「周りが期待するような大きな目標を立てないといけない」というプレッシャーに縛られて、自分の気持ちがどこにあるのか分からなくなってしまったこともあります。でも、ある時ふと気づいたのです。目標は他人に見せるためのものではなく、自分が心地よく進むための道しるべであればいいのだと。
目標は小さくていい
私たちはつい、「目標は壮大であるべきだ」と思い込んでしまいます。でも、大きすぎる目標はかえって重荷になり、挫折感を生むことがあります。そこで私は、自分にとって達成可能な「小さな目標」を立てることにしました。
例えば、「今日一つだけやり遂げたいことを決める」だけでもいいのです。それが、「一通のメールを送る」や「散歩に出かける」といった、誰かに見せる必要のない小さな行動でも、それを達成することで自分を肯定できる感覚が生まれます。
他人の目標に惑わされない
私が大きな目標を掲げることに疲れた背景には、「他人と比べてしまう」という問題がありました。社会の中では、「成功」や「立派な目標」を求められることが多いですが、それは必ずしも自分に合ったものではありません。
たとえば、私は以前、「正社員として働き続けるべきだ」という周囲の期待に応えようとして無理をしました。でも、それが自分の特性に合っていないことに気づき、フリーランスという形で働くことを選びました。他人が目指す目標に自分を当てはめるのではなく、自分にとっての「ちょうどいい」を見つけることが大切だと学びました。
好きなことを目標にする勇気
目標を立てるとき、「これは役に立つだろうか?」と考えてしまうことがあります。でも、目標は必ずしも実用的である必要はありません。「自分がやりたいこと」「自分が楽しいと思えること」を目標にしてもいいのです。
私がエッセイを書くことを目標にしたのも、その一つの例です。書くことで誰かの役に立てたらという思いもありますが、それ以上に「自分がこれを書きたい」という気持ちを大切にしています。役に立つかどうかよりも、「自分がやっていて幸せを感じるかどうか」が、目標を続ける力になるのだと感じます。
目標を見失ったときにすること
目標を立てても、時にはそれを見失うことがあります。そんなとき私は、「今の自分に必要なことは何か」をもう一度問い直します。それは、新しいことに挑戦することかもしれないし、少し休むことかもしれません。
私にとって重要なのは、目標を見失ったときに自分を責めないことです。「また探せばいい」「今は一息つく時間だ」と思うことで、心が少し楽になります。
自分らしい目標がもたらすもの
自分らしい目標を見つけることで、毎日に少しずつ意味が生まれます。それは誰かに評価されるためのものではなく、自分が自分でいるための指針になります。たとえそれがどんなに小さなものであっても、自分の心を照らす光となるのです。
最後に
自分らしい目標を見つけるのは簡単ではありませんが、それを探す過程そのものが大切だと思います。私たちは、他人と同じ道を進む必要はありません。それぞれが自分らしい道を見つけ、それに向かって一歩ずつ進むことが、人生の豊かさに繋がるのではないでしょうか。
次回は、「自分らしい道を歩むための工夫と実践」についてお話しします。どのようにして毎日を少しずつ前向きにするか、一緒に考えていきましょう。
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