ペンギンとマシンガンと女の子3
「ゆしは、メスのシャチ」
けいは、あることに気付いた。ある、音に気付いた。遠くで、波が騒がしい。生き物に荒らされている。けいは、あ、と言った。けいは、美しいものを見た。
「ゆし」
小山はその犯人の名を口にした。弧を描く、その真の意味は宇宙の真理に似る。笑うがいい。しかし、そのシャチがおこした飛沫は、感覚を超えて美しかった。けいは、シャチに見とれた。
「これが、野生のシャチ」
けいは、見とれた。しかし
「こらああああああああああ!!!!!!!!!この馬鹿娘えええええ!!!」
けいは、後ろに飛び退いた。 小山がいきなり、ゆしに向かって叫び散らしたのだ。けいは、気でもふれたのか、と思った。
-
「いや、聴けよ。おれのラップ。どうせ、ヒマだろ?」
「まあ、それに対し、言い逃れはできないわね。いいわよ、じゃあ」
「よし」
スティーブは、パンツから、変な機械を取りだした。かち。
-
「だからね~、浄介くぅん」
桂は、犯罪すれすれだった。
-
「早くこっち来て挨拶しろや!この馬鹿シャチビッチが!ゆし!来なさい、今すぐ!かっこつけてんじゃない!」
けいは、びびっている。なんなのだ、さっきまでの温厚で譲歩的な小山では、ない。ゆしが返事をした。
「っせえな、おいたさんは、いっつも」
透き通る、鏡のような声が響いた。マシンガンは顔を真っ赤にさせている。けいは、惚れているのだ、と気付いた。しかしなぜ、ことごとく奴らの言葉を認識できるのだろう。けいはそれを聞いた。小山は応えた。
「それは、あなたもこの惑星の住人に近付いているからよ?」
-
「OK、che,che yo, turn iT UP... yoyo」
なんか変な人がいる。と仁美は思った。しかしその印象は次の瞬間に、変わった。
「I just
-
「はい、こちらが、ゆし。あのギターの正体。過去からあなたの時代まで、駆け上がり、恩返しをあなたに実践させようとした正体よ。わたしたち4頭はあくまで、サポート。ほら!!!! あんたもなんか言う」
「すっげ、ETIAGXNだ。初めて見た。すげえ」
ゆしは、返事を促されながら、驚きに目を丸くしている様子だ。大きさは、小山達の半分ほどである。細く伸びるしっぽを、含めなければ、長さは、けいとあまり変わらない。けいは、現代のシャチと違うんだな、と思った。かわいい。と息を呑んだ。
しかし、疑問に思ったことがった。
「ねえ、マシンガン。Etiagxn(イシアガン)?てさっき音のことだって」
「人類のことだ」
けいは驚いた。その言葉を聴く前から驚いていた気がした。不思議な感覚に襲われた。マシンガンは、顔を真っ赤にさせたままけいにもう一言発した。
「お前らがこの世界を救う救世主だ。人類よ。全てを形容する音、それと同じ名を神は、お前らに与えたのだ。兎瓦」ためた。「けいよ」
マシンガンは決まったと思った。
「わたしたちは、、、音?」
けいは、反芻した。何度も。そして、ゆしは、珍しそうに、兎瓦けいを、二度と忘れない記憶の中に収めようとしていた。
「よろしく、けいちゃんっ」
ぷふ。ゆしは天に噴気を放った。虹ができた。
-
女の子は、タクシーに乗っていた。目を泳がせて、何か大変なものに追われでも、しているような、そんな「危機感」と、顔に書いてあるような、形相である。運転手に、指示を、どこか、来たこともない異国にて、案内を求めているような口調で、
とりあえず、リードを試みる。
「先で、信号で、いうと3つ目を、過ぎた、左っかわにある_。確か、そうだと思います。はい。いや、そうです。左だと思います。いや、ちょっと読めないもので。あ、はい、どうぞどうぞ」
やはり、年齢は高校生ぐらいのようである。惑星守護色期巫天たちと、近い年齢ということになる。
目的地に着いた。ここは栃木県、宇都宮市。建物の前で、下ろされたその、女の子は、せかせかと、建物の中に入って行った。
「すいません、すいません!あのえっと、、、。ハリウッドって何県です、でしたか?」
案内と書かれたデスクに座る、30歳ほどの女性は、は?と言った。
「、、、あ」
どうやら、真面目に聞いたらしいとわかると、その女性は、女の子にこう返した。
「、、、ハリウッドですと、、、。えっと、まず宇都宮線で、東京まで出てもらいまして、、、。ええ、成田空港行きの、、、」
その女性も、ひとがいいようだった。
「あ、すいません間違いました!じゃあ違います何かを間違いました。すいません」
はあ、と混乱真っ最中の、デスクカウンターの女性は、次の言葉を待った。
「、、、あの、わたしここに引っ越してくることになった者なんですけども!」
応対する女性は、気が楽になった。
「住民票の登録で、よろしいですね?」
「はい。えっと、はい。そんな感じです」
女の子は、若干、髪が短いこともあって、場合によっては、少年にも見えなくはなかったが、スカートをはいていた。目は黒目がちで、さっきから、ちらちらと辺りをしきりに、見渡している。特筆すべきは頭である。どう見ても、岩石を頭に乗せている。そして巨大な耳あてをしている。季節は、ただいま、夏である。不思議であった。
「ご職業は?」
「はい、地球です」
時が、止まった。見れば、周りの職員も、何か異変を感じ、こちらにしきりに視線を、配らせてくる。
「何をなさっている方なの?お嬢さん」
「まず三人の月、桂、木村優美、求喰柚宇を管理してます。あ、すいません。えっと、見た目、の話でいうと。 今は、確か柚宇は、マーメイドキョンシー! 時代は<アシュラゴロシ>。桂ちゃんは変な感じ(笑)今は確か女子高生の体、借りてるんじゃなかったっけなーっ。最後が、木村優美ちゃん! ワシ頭に、乗っけためちゃくちゃ可愛い子だよ。この子がいるのも<アシュラゴロシ>!あ、先に言った桂ちゃんは、この時代<チキュウガエシ>、にもう来てるはずよ?」
「はい!もういいですよ。ではね」
「あ!!だからですね。うんと、時代って3つアルでしょ?今、こっちも忙しくしててね?なんかJETTOESたち、あ、あなた達の言葉で言う鯨類だったわよね?あいつらも大して働かないし!」
地球様は、挙動不審だつた。
「おっけ、、、。 住所は?」
もう、対応する女性の言葉づかいも、崩れ始めている。地球様はこう、お答えニナリマシタ。
「地球全域ですっ」
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