第83話 冒険者登録

木曜日。

まいった。家と店と初ちゃん家の往復で1日が終わってしまう。売り物を持っていくだけしかできず、ゆっくり話す時間も無い。初日にそれをやってご飯を錬成するハメになったのだ。先の予定を立てたり新作の相談ができない。初ちゃんも発送が多くてあまり時間の余裕が無いみたい。


「忙しいみたいだね……。お疲れ様。」

夫に気を遣わせてる罪悪感よ。

「ううん、迷惑かけてごめん。バイトさん探してるんだけど、昨日も変な2人が色々聞きに来たりしたの。だから和樹目当ての女の子は絶対避けたいとお母さんと話してたんだ。だから今知り合いを当たってるところ。和樹も冬にはまた手伝いたいと思うし避けられるトラブルは避けたいじゃない?」

「そうだね。和樹の事が心配だよ。モテるのも良い事だけではないね。とにかく信頼できる人が見つかると良いね。」

 全くだ。女の執着は恐ろしい。


 

異世界。

 商業ギルドに来ました。

「ブラックピッグやフォレストチキンの肉って、ここで買えるんですか?」

ココ達は下層を目指しているので、母の店用がゲットできないのだ。

「少しならございますが、基本は冒険者ギルドに発注をかける形ですね。個人の店で冒険者と専属契約をして定期的に仕入れているところも多いです。」

と言って見せてくれた肉は古かった……。

 フォレストチキンの肉 少し古い

かなり美味しいの表記が消えていたので買わなかった。衛生的に心配だったので浄化をかけたが表示は変わらず。かなり美味しいも非常に美味しいもほぼ出回らないらしい。輸送の問題か?

「ちなみに、こちらの肉を買い取ってもらう事はできますか?」

 魔力入り鶏もも肉と美味付与鶏もも肉は喜んで買ってくれた。冷凍で購入してアイテムボックスに入れてあったので、瞬間冷凍されていた事に驚いていた。

「冷凍は日持ちしますが、解凍すると古くなりやすいです。もう一度冷凍すると著しく味が落ちます。」

 注意事項を言い、余っていた鶏肉2キロ、約6枚の鶏を各一パック、錬金術で凍ったまま一つずつにバラいてあるので、木箱に栗の葉を敷いたものに入れて渡した。栗の葉はもともと抗酸化作用があったと思うが、こちらは異世界産の葉っぱなので、魔力豊富で食材の劣化を遅らせるらしい。ここではビニール袋はまだ無いのだ。このぐらいならすぐに売れるだろう。葉は一切れにつき一枚入れてあるが、食中毒が怖いので葉の再利用はしない様にと教えた。箱は今度回収する事にする。

 2キロで2000ゴルドだった。肉が魔石より高い理由がイマイチ分からない……。1羽につき肉の方が多く取れるのに。物の価値が私が思ってる価値と違うから、日本円に換算できない。不思議に思って聞くと、肉は腐るし荷物になるので肉を捨てて魔石だけ持って帰る人も多いのだとか。肉は品質により買い取らない事も多いので持って帰って売れないと損害になるからだそうだ。

その後冒険者ギルドに来て冒険者登録をした。

「定期的に依頼を受けないと登録抹消されたりしますか?」

「そんな面倒なルールを作ったら低ランクの依頼が滞ってしまいますよ。副業で薬草採取や雑用をしたい人も居ますが、自分の仕事が忙しい時は定期的に依頼なんて受けられないですからね。」

 抹消も降格もしないらしい!イージーモードである。

「戦争とか貴族の強制依頼はありますか?」

「国とは別の組織なのでありませんよ。ただ、適正を見てこちらから指名依頼をする事はあります。もちろん断ってくれてかまいません。依頼達成数が多い冒険者は信頼度に応じてギルドからのサポートが手厚くなります。具体的にはマジックバッグ等魔道具の貸与などですね。」

なる程、干渉が少ないタイプの冒険者ギルドだ。

「従魔は今は家で留守番してるんで、今度連れてきます。その時に従魔登録してください。」

「分かりました!お待ちしています。」

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