本格ファンタジーは何故燃えるのか

 どうも、熊ノ翁です。

 ロクに小説も書かずに、やれ「小説とはこうあるべきだ!」だの「これだからなろう小説は~」だのTwitterで誰彼構わず議論吹っ掛けケンカ売って回っている限界物書きの皆様、お元気ですか?

 限界物書きの熊は今日も元気です。


 ここ最近創作界隈では、ヤバい炭鉱にブチ込まれてテンパったカナリアの如く「本格ファンタジー! 本格ファンタジー! 本格ファンタジィィィ!!」と皆様騒ぎまくっているわけですが、今回本当に延焼期間長いですね。

 確か2月初めに「ライトノベルの定義」について書かれたネット記事がプチ炎上して、その時に本格ファンタジーも話題に上ったのが始まりかと思うのですが、今日でかれこれ2週間ほど皆様同じ話題で騒ぎ続けている事になります。


「はぁ? 本格ファンタジーが燃えてる? 何のこっちゃ」と首をかしげている、極めて健全な読者様方にご説明いたしますと、炎上してる内容は大体こんな感じになります。


 創作界隈ではいわゆるなろう系のファンタジーを好むきのこの山の民と、指輪物語のような濃ゆい世界観のファンタジーを好むたけのこの里の民とで、どちらが真に優れたファンタジーであるか血で血を洗う抗争が日々繰り広げられておりまして。

 Twitterでも事あるごとに双方の派閥の物書きが、互いの頭を創作論でカチ割ってやろうとドッカンバトルを繰り広げております。


「俺の愛する本格ファンタジーはなろうに殺された! 学びも気付きも何も無い、読むとIQ下がりそうな小説ばっかり書きやがってこの腐れ物書き共が、恥を知れ! 現代日本の語学力の低下はテメーらのせいだ! 全国の教育熱心な親御さんに代わって文学全集でお前らの頭カチ割ってカラッポの中身を晒してやる!」


「なーにが本格ファンタジーだ! 指輪物語の出来損ない二次創作みてーな、面白みのねぇ陰キャ専用根暗胸糞ファンタジー書くのがそんなに立派な事なのかよ! 腹に包丁ブッ刺して玉川上水に投げ捨てんぞコラァ!」


 こんな感じの、とても創作活動をしている物書きとは思えない生産性の無い不毛な会話が、本格ファンタジーについての話題になると溢れかえります。

 何故このような事になってしまうのか、本格ファンタジーの話題はどうして燃えてしまうのかをTwitter上で聞いてみた所、100件以上のご意見をお寄せ頂きました。

 その中で特に多かった意見を今回はご紹介していきます。

 本来なら生産的な創作活動を行い物語を世に送り出すべき物書きの皆さんや、つまらない現実の言い争いより面白い物語を好む読者の皆様が、争いの種が何であるかを俯瞰し心の平穏を保つための一助となれれば幸いです。

 それでは行きましょう!


・はっきりした定義が無いから

 まず意見としてダントツで多かったのがコレです。

 ファンタジーの区分として有名なのはハイファンタジーとローファンタジーあたりで「現実世界が物語に関係しているかどうか」がジャンルを分ける理解しやすい基準となっています。

 それに対して本格ファンタジーというのはそのような判別しやすい基準が無く、定義の明文化もされておらず、個人の感性によって各作品が判別されている状態にあります。

 よって、何かの基準に照らし合わせて判別できる状態には現状なっていない為、個々人が個々人の感性を基準にして本格ファンタジーかそうでないかが語られ、すれ違いと軋轢を生む一因となっているのでしょう。


・本格ミステリ、ハードSF、本格時代劇と同じ道を歩んでるだけ

 この「本格とは何か」といった区分については、何もファンタジーに限った話ではなくて、あらゆるジャンルでも似たような事は議論されてきています。

 文学の世界でも、純文学と大衆文学の違いは何か。何をもってしてその区分けをするのか。

 SFでも、ミステリーでも、はたまた音楽の世界でも、これが本格〇〇だ、これがロックだ何だと、ジャンルの定義論は激しい議論が繰り広げられてきた歴史があります。

 その点において、本格ファンタジーは基準や定義が定まるにはまだ議論の時間が足りていないのかもしれませんね。


・元祖や本格を掲げるラーメン屋と同じ

 これも結構ありました。

 ハタから見る分には、ラーメン屋が自分の店を元祖だ本家だ本格だと言い張ってるのと同じに見えるのでしょう。

 まあ確かにそう見えてもしゃあないよなと熊も思います。

 あと、本格か本格でないかを区分した時、自分の好きな作品や自分の書いた物語が本格でないとされたなら「ほぉぉ、だったらその本格って奴がどの程度のものか、見せてくれや。ええ?」という気持ちが生まれるのは、人として割と多い反応なのではないかとも思えます。


・お前のような奴が燃やし続けているから

 その、なんだ、スマン。

 いや、でもさでもさ。

 ちょっと待って!

待ってってばよ!

 熊のような奴って、基本的に燃え……盛り上がってる話題の臭いを嗅ぎつけてやってくるのね。

 要はTwitterのトレンド話題追っかけてる奴と同じなのよ。

 だもんで、創作界隈でウケそうな話題に食いついてるだけで、わざわざ本格ファンタジー狙い撃ちして火炎瓶投げてるわけじゃ無いんですよ!

 信じて!

 つーかこっちも困ってんだよ!

 毎日毎日バカの一つ覚えみたいに「本格ファンタジー本格ファンタジー」と連呼しやがって!

 あのな!

 いくら盛り上がってる話題には食いつくっつっても、こっちだって10日以上連続で同じ話題についてなんて語っていらんねーんだよ!

 読む方も書く方も飽き飽きしてんだホントに!

 テンプレなろう小説でももうちょっとヒネリ効かすぞ!?

 はよ次の話題に行け!

 次の話題に!

 創作界隈なんて、日替わりでいろんな物が燃える、節操の無さには定評のある場所だっただろーが!

 自分の作品はすぐにエタらせたり更新サボる堪え性無しなくせに、なんでこの話題だけ毎日更新続けてんだよ!

 そういう根気は自作品で見せるようにしとけよな!

 食事だっておんなじ物ばっかり食ってたら体壊すから、バランス良く食べなさいってお母さんに言われてきたろ?

 それと同じように創作界隈でもおんなじ物ばっかり燃やすんじゃなくて、三点リーダーやじゃがいも、ラノベは漫画の下位互換あたりも、好き嫌いせずにバランスよく燃やしなさい!

 いいですねッッ!?


本格ファンタジーは何故燃えるのか……END

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