17 『魔王の城』 1


 『いったいここはなんですか?』


 ぼくは一気に言った。


 『ここはね、魔王の城です。』


 『はあ? ま、お、う?』


 『そ、ま・お・う』


 『ばかばかしい。あにめじゃあるまいし。ここは、月の、地下ですよ。魔王がいるわけがない。異世界もありません。きっぱり。(月の地下だって、かなり、あぶない😃)』


 『ははは、まあ、そうよね。正解です。』


 『もう。ひとをばかにして。あなた、何者さまですか?』


 『あら、まやしんさん、あなた、まだ、分かってないの?』


 『わかるわけないでしょ。毎日、カート運びをやってましたが、人様の顔はわかりませんよ。』


 『ぶっ。スパイのくせに。』


 『は?』


 『わかってます。あなた、地球安全保障省のエージェントでしょ。』


 『どき! 知りませんよ、そんなの。あなたのことも、分かりませんよ。』


 ぼくが、裏地球安全保障省のスパイなのは確かだが、それは、アルバイトである。


 カートについた指紋情報を送るだけである。


 『ほら、顔色変わった!』


 『だましたな!』


 『ほーほへほほほ。』


 『まったく、困った人だなあ。』


 『まあ、月の、魔女さまだからね。』


 『いやあ。こんな施設を月の地下にもってるなんて、普通ではないでしょうね。大金持ちさんには、違いないな。』


 『まあね。まあ、お掛けなさいまし。お茶を出しましょう。アンナさん。』


 『はい、社長。』


 『わ! アンナさん?』


 『ども。』


 そこには、アンナさんが、お茶かんを握って立っていたのです。


  


       🧃カンチャウ🎵








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