おやすみ、星からの太陽の少女
雲生
第0話 序幕 夢
私が乗っていた遊覧船は、不幸にもそびえ立つ氷山に衝突した。
墨のように広がる漆黒の夜空の中、異常に明るい残月が高く浮かび、無数の流れ星がその周りを瞬時にかすめて、眩しい尾を引き、空に傷痕のような痕跡を残す。私が立つ傾斜した船の甲板は、渦巻く波の中に沈み込んでいき、もう半分は海に飲み込まれてしまった。それでも、華麗な客室はまだ海面に立ち上がり、息を呑むような光を放っている。
あの氷山が月光の下で煌めいていたのを思い出す。眩しい白光と冷たい風が交錯し、人々の慌ただしい騒ぎの中に、魂の奥底まで沁み込むような冷たさが漂っていた。護岸を越え、そして、堕ちた。
まるで深淵のような大海へ。
ほぼ一瞬のうちに、接近した零度の海水が私の体温をすべて奪い去り、疲れが心の奥深くにじわじわと芽生え始めた。
あきらめろ。
私はそう思い、目をそっと閉じた。
人々の悲鳴や泣き声の中で、遊覧船が海に沈む際に響く轟音の中、ほんのかすかに、放棄した紳士たちが奏でる最後の交響楽が聞こえた。
しかし、その時、私は温かな力にしっかり掴まれたような気がした。
幻想なのか?
そう考えながらも、疲れた目を再び開ける。
そこには細い腕があり、力は大きくないが、非常にやり果たした力強さを持っていた。振り向くが、残念なことに、彼女の顔は記憶の中であいまいで、まるで消しゴムで消された鉛筆画のように、淡い痕が残るだけだった。
しかし、声は風を貫いて、私の耳に優しく響いた。
「必ず私が助けてあげる!」
彼女はそう宣言して、まるで童話の中の小さな女の子が灯したマッチのように、私の魂の奥底に染み込んだ冷えた感覚をすべて払いのけて、命を繋ぐ希望を抱く思いを抱かせてくれた。
私は必死に水をかき分け、彼女について前へ進んだ。どれくらい泳いだのかわからない。ただ彼女について進み続け、漂う船の残骸のそばに辿り着いた。
私たちはその残骸にしっかりと掴まり、波に流されながら、遠くの救命艇の明かりが徐々に近づくのを見て、命の希望が燃え上がるのを感じた。
生き残れたのか?
もちろん、そうではない。
マッチがいつか消えるように、運命は悲劇を好む悪趣味な作家が残酷な冗談を用意するようなものだ。
あの言葉はどう言ったか。悲劇は、美しいものを他者に見せるために壊すことだ。
私たちの自惚れの安全感は、マッチの弱い光のように脆弱で、たった一度の大波が押し寄せれば、影も形もなく消え去ってしまう。
再び暗い海に飲み込まれる感覚を覚え、必死に抵抗している中で、ふと、彼女の手が残骸から滑り落ちるのを見た。
恐怖。
これが私の唯一の感情だった。
しかし、今、彼女を救えるのは私だけだと気付き、必死に彼女の手を握りしめた。彼女が先ほど私にしてくれたように。
「しっかり掴んで!」
私はそう叫ぼうとしたが、塩辛い海水が喉を詰まらせ、声が深く沈んでしまった。
彼女は悲しそうな目をしていたが、顔には硬い微笑を浮かべていた。まるで自分が私の負担になりたくないかのように、徐々に手を緩めていく。
波は次々と押し寄せる。私は無力にそのぼんやりとした影がどんどん遠くへ流れていくのを見つめ、彼女が孤独に深海で奮闘し、自ら浮かぼうともがく姿を見ていた。しかし、最終的には無限の波に消えてしまった。
救命艇の明かりはまだ速く近づいてきていたが、それがどうなるのか?
生きる希望はすでに微弱で、遥か彼方のものだった。
孤独と絶望が波のように押し寄せ、私はこの果てしない暗闇の中で迷子になってしまった。
***
手を伸ばして、自分を起こそうとした。額には冷や汗が流れ、一方の手で少し重い頭を支え、息を急速に吐きながら、原因不明の悲しみが波のようにあふれてきた。
奇妙だ。
なぜこんなに悲しいの?
枕の上にはまだ湿った感触が残っており、ぼんやりと周囲を見回すと、少し気温は下がったが、いつもと変わらない。慎重に目の端に触れると、そこには乾いた涙の痕があった。
私……また夢を見たの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます