3
いま、ねこりはログハウスにいます。
大きな大きなベッドの上で小さなねこりはひとり座っています。
風は吹いておらず、
鳥の鳴き声、虫の音ひとつしません。
寂しっ!
しかもキングサイズベッドは隣にもう一つ。
シワなどの人が使った形跡が無い為、無意味に置かれているだけだと思う。それが尚更、孤独感を助長させる。
そして、何やら枕元に木で出来た筒状の入れ物がある。もしかしたら、何かに使えるかもしれないから、肌見放さず持っておこう。
身につけている衣服は、ノースリーブの白いワンピース。このワンピース、
しかも、ねこり、幼くなってる!?
髪は前より、少し短くなって。手足が小学生に見られてもおかしくない程に短くなってる。足も小さい。
あれ……? おかしいな。
ねこになりたいって頼んだのに。
寝室は2階で、恐らく1階に洗面所とかキッチンとかあるはず。誰かいる事を願うが、今のところ、人の気配は感じられない。
――1階に降りる。
階段は木造で
自分の姿を鏡で見てみる。
ん?
頭上に白いもふもふな……猫耳!?
触ってみるとふわふわ。本来の人間の耳の位置を触ると何も無い皮膚に触れた。
そっか。ねこりは猫になったんじゃなくて、猫耳美少女になってしまったのね!? うんうん、分かった。この姿も悪くない。
取り敢えず、ねこりが幼い猫耳美少女になったのが分かると彼女はログハウスの探索を始めるのだった――。
【悲報】1階にあると思っていた、キッチンが無い。食料も無い。
こりゃ、買いに行かないとダメだね。
水は洗面所にある、水道から奇跡的に水が出たので、水分補給は可能だった。木で出来た筒状の入れ物に早速、水を沢山入れる。
1階の長い廊下の
やった! これで外に出れるね!
鍵穴も鍵も無いけれど、きっと人は誰も訪れないだろう。だから、きっとその辺の心配は要らない。
あとは2階にはバルコニーがあった。
物は干されてなくて、物干し竿がポツン、と存在していた。そして、椅子が二脚。夜、ここで友達と珈琲でも飲みながら、談笑でも出来たら、きっと楽しい人生(猫生?)送れるんだろうなー、と夢見たりする。
ペンも紙も無いので、大事なことは記憶しておかなきゃいけない。
まず、服を買う。
食料を調達する。
そして、この世界で猫耳少女が世間に受け入れられて、生きやすい世界なのか、を確かめる必要がある。猫だから、襲われる可能性もあるしね。そもそも、この異世界、人や動物がいるのかすら、謎だ。だって、鳥と虫がいないのはほぼ確定。魔物だって、いまは匂いすらしない。
ねこりは出発の準備を終える。
ふと、隣のベッドに視線を遣る。
(このベッド、誰かに使われたり、するのかな……?)
ねこりが使っていたベッドだって、最初に使ったのはねこりだ。
――近い未来、来客は来るだろう。だが、その客は彼女が恋したがっていた、イケメン――ではなく、美少女だということをねこりは知らない。
美少女と二人っきりの甘い夜が来るなんて、思いもしない。
だって、
でも、そんなねこりの常識でさえも、この世界によって、狂わされるのだ。
この世界に男っていると思った?
――いるはずないじゃん。
だから、何も知らないねこりはイケメンには当分出会えないだろう。
悲しいな……。
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