お母ちゃんの学校

沼津平成

第1話 お母ちゃんの学校

  1幕


 高田さとるくんは、テストの点が悪くて、また叱られてしまいました。

「んもう! どうして、そんなに点がのびないの?」

「それなら、母ちゃんがやってみろよ。——難しいから」

 こうして、さとるくんのお母ちゃんが、次の日、さとるくんと一緒に、学校に来ることになりました。


 2幕 教室で


 教室は賑わっていました。なにしろ、さとるくんがこう言ったのです。「今日、うちの母ちゃんが、学校に来るんだぜ」

「忘れてた。授業参観だったっけ?」隣の席のえりちゃんが聞きました。

「違うんだなー」チッチッチ、とさとるくんが答えました。

「ええー、じゃあなんで?」今度はまりこちゃんが聞きました。

「テストを、受けに来るんだよ」

 テストぉ!?


 3幕 職員室


「はい……そういうわけで、よろしくお願いします」

「いいですよー」

 お母ちゃんがテストを受け始めました。

「6+3=9

 2+8=10

 4+4=8

 5+8=40」


「……あら? 5+8=、13じゃないの!」


「……次、8+9=17……」


 4幕 テスト返却


「さとるくん」さとるくんが担任の先生に呼ばれました。

「おお、なにぃ?」

「これが、君のお母ちゃんのテストだ」

 そこには、汚い字ですが、全問があっているテストがありました。しかし、サトルくんは次第にそのカラクリに気づき始めます。

「これ、一年のテストじゃん!」

 そう、母ちゃんとは、かあという名前の、さとるくんの姉だったのです。しかし姉もまた勉強ができなかったので、担任の先生はかあに一年生のテストを受けさせていました。

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