血脈のカタルシスト 運命のカナリア編

冬夜ミア(ふるやミアさん)

モノローグ 681

運命とは?

 時折り、運命とは何なのかと考え込んでしまう時期がある。いつからそんなことを考え始めたかは分からないが、少なくとも中学に上がるよりも前にはその思考に至っており、大概は人生の節目あたりでその妄想に耽ていた。


 初期のころの運命というものは、誰かが決めた不可知な存在であり、決して道筋も変わらず、後悔があっても引き返すことは許されない不可逆的な概念であると考察していたものだ。その内容は半ば諦めのようなもので、中学のころにとある女性からトラウマを植え付けられ、よりその思想の癖が強くなった。


 けれど、高校生に成ったときに面倒な女に出逢ってしまい、その女の思想と追随して識ることになった性格影響学の考えに惹かれ、運命に抗える可能性を見出し、運命とは何かの本質の一歩手前まで迫ることができた。


 とはいえ、何でもそうだが、最後の一歩というものは案外幅の広いもので、その決定打が見つかるまでに自分は十年も費やした。しかも、その決定打が妻の故郷にいた運命を編纂している上位存在の女性というのだから、運命の悪ふざけといものは歯が擦れて鳴るほどに憎たらしい部分がある。


 そして、運命とは何なのかと本質を掴んだ後も、こうして運命について綴っているあたり、運命の性の悪さと業の奥深さがどれほどのものか、他者目線からでも理解できるはずだ。


 本書では自分の半生を下地に『運命とはどういうものか』について語っていこうと思っている。


 正直、自分のことや身内のことを書くのは頬を掻きたくなるほどに気恥しさがあるが、なるべく嘘偽りのない内容として書き記すつもりだ。


 それでは、この先の運命の物語をどうぞお楽しみください。

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2024年12月20日 06:00 毎日 06:00

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