第108話 神vs魔王

「どっちが勝つと思う?」

「正直分からないですね、ガブリエルさんの実力が全く分からないので」


コロシアムで向かい合うガブリエルとゼル、いやぁ楽しみだなぁ。


「本気で行っていいのかな?」


「いいぜ!俺だって神だからな!そうそう負けねぇよ!


「それは安心だね!じゃあ行くよ!終焉魔法…」


「待て待て!!終焉魔法はやめろ!流石に無理だ!」

え?終焉魔法撃ったら終わっちゃうの?


「それやっちまうと俺も終焉魔法撃つしか無くなるだろ!?もう少し楽しもうぜ!」


「それもそうだね!じゃあこっちだ!カタストロフィック・レゾナンス!!」

カタストロフィ?終焉の共鳴?どんな魔法なんだろ?


ゼルは魔法を唱えた後猛スピードで突っ込みガブリエルに力一杯拳を叩きつけた。

避けないの?なんかライフゴリゴリ削られてるけど?


あっと言う間にライフを削り切りゼルがあっけなく勝利してしまった。

勝利が決まった後魔法が解けたのかガブリエルが口を開く。


「おい今のは無しだ!!無し!!それ相手がお前の思い通りになっちまう魔法じゃねぇか!!」

何その魔法!何に使うの!?ねぇ!どんな時に使うの!?


でもゼルなにも分かって無かったな…一方的になっちゃう魔法が駄目って話だったのに…


「それもそうだね!じゃあどうしようか?」


「もう変な魔法使わないようにステゴロだ!ステゴロ!」


「良いね!身体強化は使って良いのかな?」


「まあそれくらいなら良いけどよ、俺も使わせて貰うぜ」


「じゃあ行くよ!アブソリュート・モナーク!」

絶対王政?なんかまたヤバい魔法で強化したんじゃないの?


「お!良いねぇ!んじゃ俺も行くか!エンジェル・ブースト!」

ねぇもう自分達の事神って言うのやめたら?名前も天使だしエンジェルとか魔法に付けてるじゃん。


次の瞬間ゼルとガブリエルの拳がぶつかり合い、周囲に衝撃派が走る。

何はともあれこういうのが見たかったんだよ!


「すごいね!僕結構全力なんだけど!」


「俺だって全力だぜ?中々やるじゃねぇか!」

闘技場の中心で猛スピードの攻防、少しだけガブリエルが優勢か?

そろそろゼルのライフが無くなるというところでまたゼルが悪いクセを出した。


「インフィニティブースト!!!」

ゼルが魔法を唱えた瞬間にガブリエルは吹き飛びライフがゼロになった…。


「おい卑怯だぞお前!!最後に重ね掛け使ったろ!」


「身体強化は良いって話だったからね!僕は負けず嫌いなのさ!」


「くっそぉ…まあ負けは負けか、すげぇ腑に落ちないけどな…」

ルールはルールだからなぁ…。


しかし分かった事がある。

強者、それも神やら魔王やらクラスになると本気を出せば一撃必殺になるのでどれくらい手加減するかで勝敗が変わっちゃうんだ。


せっかく本気出せても一撃で終わりじゃなぁ…。


「じゃあ次は私ですね」

ミカエルさん?あれを見てもまだやりたいの?


「楽しみだなぁ!今回も素手で良いのかい?」


「いえいえ、好きに戦って良いですよ。私も本気で行きます」

ミカエルさんってすごい強いの?


「じゃあ行くよ!終焉魔法…」


「アクセル…」

ゼルが魔法を唱え終わる前にミカエルさんの強烈な拳がゼルの顔に突き刺さり…ゼルは吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。


「え?あらら…いやぁ負けたよ!なるほど、そういう戦い方もあるのか!!」

負けたゼルは清々しいほど笑顔だ。


「スピードなら負けませんわ、良い勝負でした。」

色んな戦い方もあるんだなぁ…上級者同士だとなおさら。


「凄まじいスピードでしたね…」

シルヴィアさんは我に返り口を開いた。

確かに凄かったね。なんかもう少しはちゃめちゃを想像したんだけど。


ライフの倍率調整とかあればなぁ…あとで合成とか色々見てみよう。


酒飲もうぜ!とガブリエルさんが言い出したので何が食べたいか聞くとゼルとシルヴィアさんは声を揃えて「焼肉!」と言うのでまた焼肉。


重い…昼間はハンバーガーでしたよね。


「今度は酒で勝負だ!負けねぇぞ!」


「望むところさ!そうこなくっちゃ!」


「私は衣装室?が気になりますね」

「ミカエル様、お肉を食べたら私も行きます」


神と魔王か…酒の減りがとんでもないなぁ…


肉は追加に追加を重ねても全然間に合わず、三人は永遠に食べ続けている。

ガブリエルさんは本当に酒のみ、永遠にありとあらゆる酒を飲み続ける。


「ブランデー?これが一番美味いな!」

瓶ごとガブガブ飲んでいるが…なんか以前テレビで見たホストがこんな飲み方してたなぁ。


「やっぱり日本酒だよ!この多彩な味が堪らないんだ!」


「えぇー、彼氏も居ないのぉ、絶対シルヴィアちゃんなら良い男いると思ったんだけどぉー」


「そうですね…そもそも男性が少ないので出会いも無く…」

ミカエルさんが一番弱いか?なんかヘロヘロになってシルヴィアさんに絡んでる!厄介な感じの絡みだ!ダルそう!


結局朝まで永遠に飲み続け、飲み比べは引き分け。

ミカエルさんはお気に入りの服を持って、ガブリエルさんはブランデーを山ほど持って帰っていく。


「ショウ!ありがとうな!あと魔王もまた飲もうぜ!」


「まあまた来て下さいよ、お酒なら山ほどあるんで。」

「そうだね、また飲み比べをしよう!」


「こんなにお洋服貰っちゃって良いんですか?シルヴィアちゃん、また色々お話しましょうね!」

白い服多いな…ナース服も持ってるみたいだけど白衣の天使って事?また神要素薄くして…


「は…はい…、楽しい時間をありがとうございました…」

めっちゃ疲れてるじゃん!可哀想に!!


女神を見送って一息付き、少し仮眠したら帰るよと二人は寝室に向かう。

僕も寝よう。なんかすごい濃い時間だったな…

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