第71話 保存食 レイvsオーガ

花火大会が終わり、今僕たちは水族館に来ている。

「ここもえげつないなぁ、こんな大量の魚初めて見たわ」


「でしょ?いつの間にか新しい魚増えてたりして飽きないんだよね」


「大人もはしゃぎまくってるわ、本当にすごいわ、んで、あれはええんか?」


「ショウさぁん、お魚いっぱいですよぉーみんなも飲みたいってぇ」

花火大会でまた白ワインを飲み出し、結局へべれけになってしまったユキさん。

魚は一言も飲みたいなんて言ってないですよ。こらこら、水槽にワイン入れようとしないで下さい。


「あの、ユキさん…明日仕事は?」


「え…今何時ですか…?」

急にさめるじゃん、やればできるの?


「もう日付変わって3時くらいですよ。子供達結構前に寝てますし大人ももう流石に限界っぽいですけど…」


「私…お祭りの日に休みもらう代わりに次の日朝一から出勤なんです…6時から…」

帰りますか…ユキさんは少し寝て下さい…


「ワイは寝た子供達運ぶわ…大変やなショウも…」


「その前に食料置いて行くよ、ちょっと待ってね」

ステータスを開いて保存が効きそうな物をチョイス。


ハチミツって確か賞味期限無いんだよな。

あとは缶詰、干し肉、干物でしょ。

パスタにチーズ、レトルト食品、缶詰のパンなんてあるんだ、これも良いかも。


「おいおいどんだけあんねん…嬉しい限りやけど多すぎても腐ってまうで」


「大丈夫だよ、保存食だからよっぽどの事がないと腐らないから」


「革命やんけ…本当に何か困ったらすぐ呼ぶんやで、駆けつけたるからな」

ギリギリ起きている大人で運び出し、僕はアルカリスの町に戻る。いやぁ楽しかったなぁ…



ショウが出たあと村では…


「ゼフはとんでもない人連れてきたなぁ…冒険者ってすごいんだな…」


「ちゃうちゃう、冒険者の中でも特別やでショウは。きっとまた会うやろ、そん時はとびきりごっつい歓迎しよな。」


「まずこの食料どうするかやな…お!たこ焼きあるやんけ!分かっとるな!」

山のように積まれた食料、しばらくは食に困る事は無いだろう。



僕はしばらく運転し、ユキさんの家の前に到着し。眠っているユキさんを起こす。


「あの、何から何まですみません…」


「いや僕が勝手にゼフの村に行っただけですし、逆に付き合わせてしまって申し訳ないです。」


「私も楽しかったですよ、あの水族館…今度ゆっくり周りたいです!」

是非また来てくださいと挨拶をし、まだ眠そうなユキさんは仕事に向けて準備を始めた。


僕は少し寝るか…なんか申し訳無いけど運転はしたしな。


僕が起きた時にはもう昼過ぎだった。寝過ぎた…

今日はどうしようかな…


ユキさんに言われた通り町にでも出かけてみようか。銀行に行ってお金も崩さないと使えない事も分かったしね。

僕は準備をして地下室を出る。そしてすぐに知り合いに出会った。


「あれ、レイさんじゃないですか、依頼ですか?」

王城のメイドからAランク冒険者になった人。ルナの体に傷をつけるほど強い。なぜこんな戦闘能力があるのだろうか…


「ショウ様、ご無沙汰しております。今は依頼の帰りですね。今日の冒険はもうお終いにしようかと。」

冒険楽しんでるんだね。夢が叶って良かったよ。


「今回は何を討伐したんですか?」


「オークキングですね、なかなか手強かったですけどまあなんとか」

オークキングか…懐かしいな。


「オークキングは僕も見た事ありますよ。前オーガの家族と出会った時に、その時はオーガのお父さんが瞬殺しちゃったんですけど。」

オーガという名前を出した瞬間レイさんの顔つきが変わった。


「オーガですか…どれほど強いのでしょうか…是非お会いしてみたいのですが…」

命知らずだよねこの人。だからすぐ強くなれるのかな?危ないと思うけど。


「なんなら会いに行ってみますか?結構近いですよ」


「良いのですか!?是非!」

町の観光は見送りかな、でもあんまり出会わない人だし久しぶりに色々話したいかも。


僕達は地下室でオーガの守る村へ向かった。

「ルナよりも腕力はあるみたいですよ。力では負けるって言ってましたし」


「あのルナ様より?ちょっと想像付かないんですけど…」

無限に力が付くからなぁ…もう山とか吹き飛ばせそうだよ。


しばらくして村に到着。相変わらずのどかな村だ。


「ゴウケツさーん!お久しぶりでーす!」

丁度外にいたゴウケツさんに声をかける。相変わらず強そう。憧れに近い感情を抱く肉体だ。


「ショウさんか!良く来てくれた!今日はどんな用だ?」


「この冒険者のレイさんが一度オーガに会ってみたいと言うので連れてきたんです。」


「初めまして、冒険者のレイと申します。是非お手合わせ願いたいのですが。」

ん?戦うの?絶対やめた方がいいよ、怪我じゃ済まないって。


「初めて会うな、俺はゴウケツ。しかし俺は女と戦うというのはなんというか…」

嫌だよねぇ、そうだよねぇ、飲み比べなんかどう?きっと楽しいよ。


「あら、ショウさん!あとお客様ですか?」

サイカさんか…このタイミングで来ちゃったか…


「初めまして、レイと申します。是非オーガ族と手合わせをと思い来たのですが…」


「あら?じゃあ私がお相手しようかしら。主人は女の子とは戦いませんので」


「是非お手合わせを!!」

こうして始まった女の戦い、村人も集まり盛り上がってしまった。もう止められない…


「ショウさん!あの女の人強いの?」

チヒロちゃん、久しぶりじゃん。


「まあ強いんだけど…サイカさんも強いからなぁ…」

どっちが強いと言われると全く分からない。

そんなこんなで試合は始まってしまった。


「行きます!」

レイさんはとんでもないスピードで突進、なんか前より早くない?

お馴染みの二本のナイフから斬撃を繰り出す連続攻撃、しかしサイカさんも迎撃体制。足技で華麗にいなしている。

一瞬の隙を突いたサイカさんはレイさんの胴体めがけて思いっきり蹴りを放ち、それをナイフで受け止めたレイさんは後方に吹き飛ばされた。


「早いですねぇ、こんな強いとは思いませんでした。」


「お褒めにあずかり光栄です!」

また距離を詰めるレイさん、


「我流、針撃」

でた!技名言うヤツ!本当好きそれ!

ナイフ一本に全体重を込めた一撃、流石のサイカさんも受けきれずに吹き飛んだ。


「強烈ですわね!私も行きます!」

お互いにゼロ距離まで近寄り連撃の撃ち合い。

サイカさんの足何でできてんの?ルナの鱗をボロボロにしたナイフだよ?


「我流、滅竜砲!!」

ナイフを持ちながらのブン殴り?さっきの針撃っていうのはナイフ使ってたけど…


破裂音のような音が聞こえた刹那、サイカさんは派手に吹き飛ばされた。


「びっくりしましたわ…レイさんナイフが無い方が強いんじゃないですか?」

良かった、サイカさん怪我はしてないみたい。


「そんな事はありません、ただこの技は魔力も使うのでナイフでは伝導率が悪いのです。」

もう勇者より強いんじゃないの?頭良い分。


その後も一進一退の攻防が続き、このままでは決着が付かないとゴウケツさんが止めに入った。


「互角だ、このままでは共倒れするぞ」


「勉強になりました、ありがとうございます」


「私も楽しかったです、まさかこれほど強いなんて。しかし決着が付きませんでしたねぇ…」

二人とも消化不良か…とりあえずお風呂入って傷癒して下さい。

レイさんの着替えのメイド服もあるんですよ!


村人も待ってましたとばかりに地下室に入り、宴会を開始した。定期的に来てるからな。

いっぱい楽しんで下さい。


しかし決着ねぇ…なんか平和的な…アスレチックみたいな…


そういえばあれ良いかも!僕も興味あったんだよね!


ボルダリング!!

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