第69話 嵐鳴竜 不作の村? たこ焼き

「なんで竜がお金なんか必要なんですか?」

ユキさん!いいよ!絶対面倒くさいよ!行こ行こ!


「ワイが住んでる村の作物が育たへんねん…ワイはこの御守りもどきを売って食料を買っていかなあかんねん…」

理由ちゃんとしてる…そう言われると話聞かない訳にはいかないというか…まあこの一瞬で御守りが偽物って分かっちゃったけど…


「でももう金貨二枚も稼いだし、なんならあと50枚くらいあげるよ。だから今日は、ね?」


「ホンマか!いや話が美味すぎる…何が目的や!」

本当大丈夫だから!気にすんなって!君の仲間その10倍くらいの肉食ってるから!


「ショウさんは悪い人ではありませんよ。私が口を出す事ではないかも知れませんけど。」

そうそう、早くいっぱい食料買って帰りな、お腹空かせてるんだろう、村人達。


「ホンマありがとうなぁ…しかしどうやって大量の食料を運べばええんや…」

くそぅ!まさかとは思ったがこの竜6匹目か…雑に角とか生やしてるからもしかして竜になれないタイプかと思ったが…


「ショウさん、良いですよ、助けたいんですよね。」


…行くかぁ


「ユキさんも行きましょう、そして終わったらすぐ戻って来ましょう!」


「そうですね!行きましょう!」

まあしょうがないけど放ってもおけないよね。


「どうやって運ぶんや?馬車もそんなに大量に荷物は運べんで?」


「ゼフィラード、長いからゼフって呼ぶけど、僕はユニークスキル持ちだ。荷物なら運べるし現地でも食料ならほぼ無限に出せるんだ。」


「そんなスキルありか?ぶっ壊れやんそんな」


「まあそうですね、でも事実ですよ、ゼフさん。」

ユキさんは言うとなんか全て本当に聞こえる。何が違うんだろ…


「そんならお願いしますわ!この恩は必ず返すで!困ったらなんでも言ってな!」

何が出来るんだろこの人。


地下室に入りすぐに出発、運転中に少し聞きたい事を聞く。


「ゼフって六匹目の竜でしょ?スキルは何使えるの?」


「なんで分かるんや?そんなの人間が知ってる情報やないで…」

僕は七聖竜の知り合いから聞いたと話した。ルナ、エルナ、トコヨ、ガル爺。一番目のエルとかいうぶっ壊れスキルの竜では無いし、三番目にしては弱そう。

トコヨとエルナの間くらいが妥当だ。


「まあそうなんやが…ワイは逆に竜じゃなくて良くね?ってサキエルに作られたんや…スキルは微妙な読心と風魔法スキル、あとは呪術やな」

七聖竜作るのに逆に竜じゃなくて良くね?って何?あの女神は図画工作してる感覚なん?


「じゃああの御守りって効果あるんですか?」

ユキさんは御守りの効果が気になるようだ。でも御守りもどきとか自分で言ってたよ。


「ワイの気持ちは込めとる!買う方も気持ちの問題や!もどきって言うのは呪術で少し力込めとるから攻撃に使える!攻撃だから御守りやない!御攻撃に近いな」

語呂悪っ、近いも何も元が無いよ。


「それは残念です…でも攻撃ってどうやって使うんですか?」


「相手に向かって投げつければええんやで、勝手に相手を拘束してくれる優れものや。しかも悪事には使えん仕様やで。」

へぇー今度サキエルに投げてみよ。


「しかしこの地下室?えげつないなぁ、そら他の七聖竜も来るわ…あ、そろそろやで」


村に到着するとゼフは表に飛び出し、村人の安否を確認しに行った。

僕達も地上に出て様子を確認すると…


「これは…なんだろ、どう表現すれば…」

「まあこの辺の村では珍しく無いですよ」

言葉を選ばないなら貧しい村なんだろうがそこまででもない。普通に子供は元気に遊んでるし大人も普通に仕事をしている。


強いて言うならお腹いっぱいは食べてない?かな?


「この人が助けてくれるんや!みんな御礼を言うんやで!!」

ゼフが声をあげると村人が集まって御礼を言われる。

30人くらいしかいないかも。


とりあえずヒール風呂かな?それからご飯食べて貰って、保存食置いて帰ろうかな。


「まずお風呂入りましょう!傷とかも消えるし疲れも取れます!その後ご飯にしましょう!」


「ユキさん、女性のお風呂案内してもらって良いですか?」

任せて下さい!とユキさん。自分も入りたいのかな?


僕はゼフと男性の案内を担当、今露天風呂でのんびり中だ。

「気持ちええなー、しかもこの酒、ガルドーンあたり喜んだやろ」


「そうだねぇ、しかしなんでこの村守ってるの?確かにみんな良い人そうだけど」


「ワイはこんな見た目やからのう、魔族に間違われる事も多いんや、人間の中には魔族を恐れるヤツもおるからな…そんなワイを家族みたいに扱ってくれるのがこの村なんや」


ゼフは以前この村が魔獣に襲われているのを通りすがりに助けたらしい。

それがきっかけでこの村の用心棒として楽しく暮らしているんだとか。

「何回か同じような事はあったんやけどな、ワイの姿を見てもみんな優しく迎え入れてくれたんや。ワイは人と話すのが好きやねん。だから嬉しくてなぁ」


なんか良いヤツじゃんゼフ…


「そろそろ出ようか、ご飯は期待しといてよ。」

「それは楽しみやな!何から何まですまんな」


女性の方も終わったみたいだ。みんな元気になって良かったな…着替えありますよと衣装室にも案内した。

どうせどんどん追加されるから好きな服持って行っておくれ。


「ご飯はどうする?たこ焼き?」


「なんやねんそれ、なんかえらい決めつけされた気がするわ」

えらい決めつけやねん、すまんな。


まあカレーかな、大人数だし。

僕はゼフと男性陣と協力しカレーを大量に作った。

丁度出来上がったところに服を選んだ女性陣が合流、毎度の事ながらカレーの見た目には少し戸惑っていたが一口食べたら止まらない。どんどんカレーは無くなっていった。


僕はしれっとたこ焼きを温めゼフに持っていく、好きでしょ?食べてごらんよ。


「これがたこ焼きか?なんや美味そうな匂いはするけどカレーの方が…」

ゼフはたこ焼きを口に放り込み顔色が変わった。


「うんまぁあああああ!!なんやこれ!魂の味やん!!心で食うんかこれえぇええ!」

待ってましたあああ!なんか嬉しいよ僕!なんでか知らないけど!本場の人に怒られそうだけど!


美味い美味いと食べ続けるゼフ、それを見た村人も食べたいという事でカレーとたこ焼きという食い合わせが悪いパーティとなった。


「ショウさん、みんな笑顔ですね。この地下室にきた人はみんな笑顔になります。本当にすごいですよ、ショウさん…」


「すごいのはユニークスキルであって僕では無いですけどね」

僕自身は他人のふんどしで相撲を取ってるようなものだからね。地下室がなかったらただの硬い男だよ。


「確かにスキルはすごいですよ、でもショウさんが使うからみんな笑顔になるんだと思いますよ」


「そうですかね?そうだと良いんですけど」

僕以外が使ったらどうなるんだろ?まあ世界滅ぼす事もできるらしいしね。


しかしもう良い時間なんだが…お祭り終わってしまうんだが!!

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