第45話 釣り堀 ギルド長

鉄板焼きパーティーは盛り上がり、ルナのお腹が一杯になるまで続いた。


「満腹なのじゃ、ここは本当に良い場所じゃのう」

毎回キロどころかトンで食ってたら動物いなくならない?


「なぁ、ルナっていつもそんなに食べるの?」


「食べるわけないじゃろ、妾は空腹には慣れておる。妾の食事だけの為に毎回大量に動物は殺せないからの」


「ルナティアは殺さないと死なないでありんす、わっちは殺しても死なないでありんす」


そういう事か…

「ルナはお腹空いたらいつでも遊びに来て良いよ、好きなだけ食ってくれ。」


「それはありがたいのう、是非そうさせてもらうのじゃ」

僕がいる間くらい好きに食べてくれ、空腹に慣れるなんて悲しいからね。


「じゃあ妾は風呂で酒飲んで寝るのじゃ、明日の朝には帰るぞ」

早くないか?と思ったが子供が帰ってくる時にいないと不安がるらしい、そういえばお母さんだったな。


「私もお供します、もう油でベトベトです」

お疲れ様でした…洗濯機使って下さい…


「わっちはプールでありんす!」

ノアちゃんが先に行ってるから遊んでくるといいよ。


それぞれお風呂とプールを満喫し、眠りにつく。

今日は遊んだなぁ…とても楽しかったよ。


そして僕も眠りについた。


翌朝

「じゃあ帰るのじゃ!また来るのじゃ!」

「私も依頼を受けるのでこれで失礼しますね」

「やばいっす!遅刻するっす!」

「わっちもギルドで飼い主探しでありんす」


え?みんな一気に帰るの?なんか寂しいじゃん。

あっさり帰る全員を見送り、僕は誰もいないソファに座る。

まあみんな仕事とか依頼とかそれぞれあるよな。


僕も依頼を…いや、少しのんびりするか…Aランクの依頼って毎回重いんだよな。

一日くらいのんびりしても良いだろう。


ステータスを確認

【幸せポイントが規定数に達しました。スキルポイント400を付与します】

多いな、ルナの分か?全てが規格外だからおかしくもない。

しかし遊園地は100万ポイント、それまで地下室のアップデートも挟むしまだまだ先は長い。


何かアクティベートしちゃおうかなと見ていると釣り堀が目に入った。


結局ユキさんと釣りした時釣れなかったんだよな…300ポイントもするけどのんびり釣りしたい。コロとかいう魚ばかり釣れるあの湖も良いけどわざわざ行くのもなぁ…


と、いうことでアクティベートした釣り堀に来ました。

「これ釣り堀か?僕には海に見えるんだが」

どこまでも広がる海、堤防から釣りするタイプ?

これ作ったヤツ釣り堀理解してねぇだろ、サキエルとかいうヤツだと思うけど。


釣竿もいっぱいあるな、エサもいっぱいある…生きエサもあるし小アジや小鯖なんてのも泳いでる。


とりあえず普通にイソメでいくか、間近で見ると本当にモンスターだよねこの生き物。


僕は少し遠くに投げてしばらく放置、海を眺めて椅子に座る。

ワームもルアーもあるのか、投げ釣りもやってみようかな!釣れた試しないけど!


そして数時間、何度も投げるが一向に釣れる気配がない、釣り堀ってもっとこう…いっぱい釣れて買い取りさせられるんじゃないの?


このルアーが悪いのかな…

そんな事を思っていると急に竿がしなり…

「ちょっと待て重すぎる!」

竿は限界までしなっているが折れる気配はない、きっと破壊出来ないようになってるんだ。


僕レベル180だよ!?一体何がかかってるの!?

僕はそこから謎の大物と1時間弱戦い続けた。


「流石にそろそろ弱ってきたか?」

魚も酸欠があるからな、もう僕の勝ちだよ。


「おら!出てこい!観念しやがれ!」

叫びながら思いっきり引き上げ、ザパーンという音と共に巨大な魚が宙を舞う。

「え?マグロ?なんでこんなところに?」

陸に上がってビチビチとはねるマグロ、500キロくらいあるだろこれ。


とりあえずどうしようもないのは確かだ。

捌けないし…逃がすのは勿体無い。


ミッドナイト・ノヴァで捌くか?流石にシン君に悪いような…でもモンスターみたいなもんだし…

しかし一人では食べられないしギルドに持って行こう。

美味しいものはみんなで食べないと!


しかしこんな魚も一人で担げるんだな僕、力ついたなぁ…


マグロを担いでエンヤコラ、冒険者ギルドの扉を開き…


「みんなで食べましょう!まだ生きてる高級魚釣ってきました!」

全員がこの異様な光景に目を疑う。

「ショウにゃ!なんにゃその魚!大きいにゃ!!」

お?タマじゃん、久しぶりじゃないか。


「ショウさん!またどえらいの持ってきましたね!」

おぉ、ブレイズのメンバーもいる。


「釣りですか!?私に内緒で!?」

ユキさん違います、違うんです。


「あらすごい大きいわねぇ、誰か捌けるのかしら?」

マロンさん、その捌ける人を探しにきたんです!


「私捌けるにゃ!大きなナイフがあれば簡単にゃ!」

タマ魚好きだもんな。シン君ごめんね。

僕は思い出の剣、ミッドナイト・ノヴァをタマに渡した。


見事な手捌きでどんどん捌いていく、僕は醤油とワサビをみんなに配って待機。

ワサビは気にいる人とそうでない人がいたのでお好みだ。


捌き終わりみんなで食べる、生魚が初めての人が多いが好評なようだ。


「うめぇええ!生魚ってこんなに美味しいの!?」

アカネちゃん、そうです美味しいんです。


「これは日本酒が欲しくなるのう…」

シルバさん、良いですとも、飲めば良いですとも。


「極上にゃん!これは極上の魚にゃん!」

君がいなかったらここまで綺麗に捌けてないから好きなだけ食ってくれ。


気がつけば噂が噂を呼び町民も押し寄せ、500キロのマグロはどんどん無くなっていく、みんな幸せそうに食べている。頑張った甲斐があった。


「おいおい何騒いでるんだ?ってなんじゃこりゃ!」

ギルドの奥から一人の男が顔を出した。

ガタイがいいな、ブレイズのカムイさんみたい。


「あ、ギルド長、冒険者のショウさんからの差し入れです。どうぞ」

え?あの人?なんで今まで見た事なかったんだろ。


「ショウってあのAランクのユニーク持ちか?どれどれ、生魚?大丈夫なのか?」

みんな美味しそうに食べてますよとユキさんに言われ、恐る恐る口に運ぶギルド長。


「美味い!なんだこりゃ美味すぎる!特にこの脂の乗った部分!最高だ!酒を持ってこい!」


「お酒?ダメに決まってるじゃないですか?何言ってるんですか?」

ユキさんに静かに怒られ諦めたギルド長、なんとなく力関係が分かるな…


「君がショウ君か、挨拶が遅れて申し訳ない、俺はギルド長のローガンだ、宜しくな」


「宜しくお願いします、冒険者のショウです」


「いや仕事が忙しくてな、あまり部屋から出られないんだ。俺の顔を知らない冒険者も少なく無い。」

なるほどなぁ、まあ実際ギルド長の顔知らなくても困らないしぶっちゃけ。


「ところでショウ君、この魚はどこで手に入れたんだ?随分新鮮じゃないか。」


「ユニークスキルで作った釣り堀ですよ、なんか色々釣れるみたいです、まだこの魚しか釣れてないですけど」


「釣り!?懐かしいなぁ、俺の地元では子供の遊びでよくやるんだよ、懐かしいなぁ…」

少し思い出に浸り急にギルド長がユキさんに急に声をかける。


「ユキ君、緊急な依頼はあるのか?」


「いえ、今のところは無いですけど…どうしてですか?」


「ショウ君!君のユニークスキルで作った釣り堀に行くぞ!俺もやりたい!ギルドは休みにしてこの魚を釣りまくるぞ!」

は?いいのそれ?そんな簡単に?


「私は今日まで遊んできたんで疲れたっす!留守番してるからお土産宜しくっす!」

ノアちゃんが留守番を買って出たのでギルドからはユキさん、マロンさん、ローガンさん。

ブレイズのメンバーとタマも一緒に行くことになった。


みんなで釣りか、釣り大会なんてのも良いんじゃないだろうか。楽しくなってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る