第38話 オーガと再会 改良型パンチングマシーン
「おいおい酒飲んでたら急に部屋に色んなもん増えたぞ?急に増やすなよビックリするじゃねぇか!」
「急に巨大な滑り台が現れましたわ!何事かと思いましたわよ!ちなみに最高でしたわ!」
ミカエルさんとガブリエルさんがいたんだっけ、まあ気になってはいたんだけどね、神様だし大丈夫かなって。
ガブリエルさんは一升瓶片手に、ミカエルさんは水着でビショビショのまま現れた。
「日本酒?これうめぇなぁ、ちょっとくれよ、100本くらい」
いや良いですけどそれ二日酔いえげつないですよ?
「あの滑り台最高ですわ、ナイトプール、天界にも作ろうかしら。」
どうぞどうぞ、あなた達暇そうですもんね。
じゃあそろそろ仕事あるので帰りますと二人は帰っていった。
ちょっと待って、そこで寝てる不協和音みたいな女神も連れてってくれ。
サキエルはガブリエルさんに担がれて消えていった。
「なんで勝手に地下室入れんのあの人達…いつくるか分からない女神とか気を抜けないじゃん…宅急便だって時間指定できんのに…宅急便以下の神様じゃん…。
そして一人になった僕。ポイントも枯渇したし誰か呼びたい。
ぶっちゃけ言うと自慢がしたい。
ブレイズのメンバーは依頼中だろうし勇者パーティーも忙しい。
久しぶりにあの人達に会いにいくか、しばらく会ってないし!
目指すはオーガの親子が用心棒をしている村だ。
ゴウケツさん、サイカさん、チヒロちゃんの三人家族。
里を追い出されて怪我をしていたところに出くわし、オークキングの討伐を手伝って貰ったんだよね。
一緒にビールを飲むって約束もしたし、きっと歓迎してくれるだろう。
数時間地下室で移動し、目的の村についた。
平和そうだ、オーガの親子が用心棒をしているんだから手を出してくるヤツもいないだろうね。
町の中心の広場でチヒロちゃんが子供と遊んでいるのを見つけた。
「おーいチヒロちゃーん、久しぶり!」
「え?ショウさん!?久しぶり!また何か倒すの!?手伝う!?」
「いや遊びに来ただけだよ、少しヒマでさ。」
そう聞くとお父さんとお母さん呼んでくる!とチヒロちゃんはすごいスピードで走り去った。
あの脚力すげぇよな…足は細いのに…
数分後、ゴウケツさんとサイカさんが慌てて現れた。
「ショウさん、久しぶりじゃないか。ゆっくりできるのか?」
「本当に久しぶりですね、どうぞごゆっくりしていって下さい。」
その後村長も挨拶に来て…村人も挨拶に集まってきて…囲まれた…。
「ビールの冒険者様だ!あの味は忘れられないぜ!」
「唐揚げの冒険者様よ!今回も何かお恵み頂けるのかしら!」
「メロンソーダマンだ!あれ大好き!」
僕は食料品売り場のイメージキャラクターか何か?
「ゴウケツさんとビール飲むって約束してましたからね、皆さん地下室に招待しますよ。結構広くなって色々変わったんですよ!」
村から歓声が沸き、村人全員で来るそうだ。
80人くらいか?前と大して変わってないかも。
「楽しみだ、ビールと唐揚げ、ハイボールは忘れられん」
「私もですわ、鉄板焼きのイカ…夢にまで見たくらい」
「私はパンチングマシーンやるんだ!結構強くなったと思うんだよね!あとメロンソーダ!」
パンチングマシーン新しくなったよ、きっと前より楽しめる!
地下室に全員集合して施設案内。
「前よりもかなり変わったな…露天風呂か…酒を飲みながら入れるとは…」
「ナイトプールってすごそうですね、あとでみんなで遊びましょう。」
「子供達とバスケットボールやるんだ!手加減しないとボールが破裂しちゃうみたい!」
他の村人もボーリングやBAR、ボードゲームカフェなどを楽しんでくれているようだ。
村長と数人の大人は麻雀のルールを説明すると卓に座り、役の表を見ながら遊んでいる。
ピリピリしないといいけど…
僕はゴウケツさんと露天風呂を満喫中、桶を浮かべて日本酒を飲んでいる。
「あれから何か攻めてきたりしました?」
「そうだな、ゴブリンやトロールなんかが来た事もあったな。やはり水源が近いのと若い娘が多いので狙われやすいようだ。」
ゴブリンとトロールか…瞬殺だったんだろうな。
「俺達が出ていくと逃げ出してな、逃すのも癪なので追いかけて潰した。」
そりゃこの筋肉見せられたら逃げるよな。
「しかし美味い酒だ、どんどんいこうじゃないか」
一升瓶から直飲み、風情はどこかに消え去った。
いつのまにかゴウケツさんの周りに村人が寄ってきて一緒に酒を飲んで笑っている。
馴染んだんだな、ちょっと心配してたけど良かったよ。
「そう言えばサウナも出来たんですよ、ちょっと入りませんか?」
「サウナ?まあショウさんが作った物なのだから間違い無いだろう。」
サウナに入って数分後。
「グッ…」
いやいや無理しない方が良いですよゴウケツさん。
どうやら暑い場所が苦手らしい、汗を吹き出し何かに耐えている。
「いや…大丈夫だ、戦士だからな!」
村人も一緒に入って来たのだがまだ出る様子は無い。
これ誰か出るまで出ないヤツでは?
村人達も同じらしくチラチラと周りを見ながら耐えている。男って本当にバカよね。
しょうがない…
「じゃあ僕は出ますね、この後に冷たいシャワーを浴びてから飲むビールが最高なんですよ。」
ビールと聞いて喉を鳴らす男達。
「そ、そうだな、俺はまだまだいけるがビールは飲みたい、出るか。」
なんかゴウケツさん口数多くなったな。変わったね。
全員で外に出て冷たいシャワーを浴びる。
「あー整うわー」
整うとはなんだ?と聞かれたのでみんなに説明。
「これは、整う…」
「整うなぁ…」
「整ってきた…」
言いたくなるんだよコレ、なんか口に出したくなるの。
外にでてビールを飲んでいるとBARの方からドーンという轟音が聞こえる、だれだ?ゴウケツさんここにいますよ?
BARに行くとチヒロちゃんがパンチングマシーンで遊んでいる、しかし悔しそうだ。
「あ!お父さーん!コイツ倒せない!やっつけてよぉー!」
パンチングマシーンはストーリーモードがついて大画面に敵が現れる、一定以上の数値が出れば敵がド派手にぶっ飛び次のステージへ行く仕様。
チヒロちゃんの画面では大きなミノタウロスがヘラヘラと笑っている。
低級、中級、高級、超高級、地獄級、超地獄級がある。
今チヒロちゃんがやっているのは地獄級の…序盤?そんなに強いの?
チヒロちゃんって確か1000kgとかじゃなかった?
状況を理解し、ゴウケツさんが拳を鳴らしながらマシーンに近づく。
「チヒロを小馬鹿にしたな…吹き飛べ」
ドーンという爆発音、画面のミノタウロスは後ろの壁を突き破ってどんどん吹き飛んで山にぶつかりグッタリと降参ポーズ。
これ山とかあった?後ろの壁が抜けるくらいだったと思うけどパワーが高いとこんなに派手なのか。
「ウム、これは気分が良い」
「お父さんかっこいい!!」
気がつくとBARで飲んでいた村人が集まってきていた。
「うおぉ!ゴウケツさん!すげぇよ!」
「どんどんやっちまってくれぇ!」
「もっとすごいの見たいわ!」
少し照れてるゴウケツさんだが気分が昂ってきたらしく…
ウオォォオオオオと叫びどんどん敵を倒していく。
ボスは巨大なドラゴンだったがしっかり空にぶっ飛んで行った。
「ふぅ、こんなもんか」
ゴウケツさんは満足そうだが…
「お父さん!この上もあるの!超地獄級だって!クリアする所見たいよ!」
もうオーディエンスもその気になっている。ゴウケツさんも実は乗り気だ。
超地獄級の敵は明らかに無理ゲーな難易度、しかしなんとか倒しボスまでたどり着いたが…
「お父さん!これで最後みたいだよ!」
「ウム…しかし強敵だな」
敵は…山ほどもあるスライム、クリアさせる気無いのか?
ゴウケツさんは思いっきり拳を振り抜くが、スライムの7割ほどを吹き飛ばし…再生するスライム。
一気に削らないと無理なのか…
その後もチャレンジするが一向にクリアできない。
計測では37000kgと出ている、いやクリアさせたれや。
「コレは…今以上に強くならないと無理だ」
ゴウケツさんの弱音なんて初めてだ。
「お父さん!いっぱいお肉食べて強くなろうよ!そしたら勝てるよ!」
「そうだ!ゴウケツさんならやれる!」
「吹き飛ばすところ見せてくれー!」
ヒーローみたいだ。ちょっと羨ましいな。
「ショウさん、頼みたい事が…」
「お肉ですよね、任せて下さい!とっておきのステーキと唐揚げを用意しましょう!」
その後、フードファイターと化したゴウケツさんは肉を食い続け、一回り大きくなってスライムと再戦。
見事吹き飛ばして見せた。
「80000kg?本当に山とか吹き飛ばすんじゃないの?」
歓声に包まれるパンチングマシーンの観客、その後ろの方では…
「うちの旦那は楽しそうね、あ、ロンですわ」
サイカさん、なんだあの威圧感…
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