〜5〜初めてのポーションは何かがおかしい。

スキルで料理鑑定があるってことはこのフランクフルトも鑑定できるのかな? ものは試しだ、やってみよう。


「【料理鑑定】、発動」

そう呟くと目の前にブォンという音と共にウインドウが表示され詳細が見れるようになった。


――――――――――――

フランクフルト  レア度:コモン

満腹度:10


噴水前広場で売っているフランクフルト。

パリッとした食感が特徴。

ハードシープの肉を使っている。

――――――――――――

わかりやすくフレーバーテキストが書かれてあり、ハードシープの肉を使っているらしい。羊って言ったのはあらがち間違えではなかったのかもしれない。


硬い羊って言っているくらいだし、毛が硬いのかな……?

肉が硬いわけじゃなさそうだし。



「あ、そうだ。忘れてたことがある」

そのまま全て食べ終えた後に行きたいところがあるのだと思い出した。

そのままテントを一周グルリと周り、お目当てのものを探す。


見た目は緑色の葉っぱなんだけど……。

葉っぱがいっぱい売っている店があるか探すと、フランクフルトを売っていたお店の反対側に薬草屋と書かれたテントを見つける。


近づいてみれば、葉っぱや花、根っこなど漢方とかに使いそうな素材が豊富に揃えてある。

ここのお店はおばちゃんがやっているらしい。


「いらっしゃい、何をお探しかな」

「薬草と、純水を探してて」

そう、探し物は薬草と純水。

クラフターはこれを一番最初に作るとレベル上げとか、スキル上げにちょうどいいんだとか。(ゆっくり調べ)


「あらそうなのかい? ポーションは作るのは初めて?」

「そうなんですよ、まだ作ったことがないから緊張してます」


「そうかい、そうかい。じゃあ特別にすり鉢と瓶をあげる。それで作りな」


すり鉢と瓶をもらった。使い込まれている感じからしてお下がりなんだろうな。

ステータスを出してそれをスライドさせるとインベントリがあるので今のところはそこに突っ込んでおく。


インベントリの画面に押し込むだけで収納できるのは楽だな。

ゲームならではなんだろう。


「じゃあ、一つポーションを作ってみてくれよ。出来上がったら見せてちょうだい。薬草は自分で買ってちょうだいね」


――――――――――――

クエスト 最初の調合


ステラおばちゃんに

作ったポーションを見せよう。


報酬:すり鉢、瓶×10、薬草×10

純水×10

承認or拒否

――――――――――――

目の前にウインドウが出現し、クエストが表示される。

報酬がまぁまぁ美味しいな……楽しそうだしやってみようかな。


ものは試しなので承認をポチッと押す。

「そうかい、作り方は知ってるかい?」

「薬草をすり潰して、純粋を混ぜ合わせるんですよね」


「よく知ってるねぇ、純水はそこにある噴水の水で代用できるよ。本当なら沸騰させた水の方がいいけどねぇ」

なるほど。

普通の水でも出来るけど不純物を取り除いた方が綺麗で効能が高くなったりするって事なのかな。


「じゃあ薬草を三つください」

「はいよ、銅貨3枚ね」


そう言いおばちゃんは薬草を紙袋に入れて渡してくれた。

「ありがとうございます」

「頑張っておくれよ」



お礼を言って紙袋を片手にベンチに向かう。

そのついでに瓶に水を半分くらい入れておくとあとで取りに行く必要がなくなるからね。


「まずはすり鉢に薬草を入れてすり潰すんだよな」

ゴリゴリとすり鉢ですり潰していく。

「この時に【料理の心】を発動。MPは5ポイント使ってみるか」


そう宣言すると何かが自分の中から抜ける感覚を覚える。

これが魔力を使った感覚か、何となく理解。(小並感)


それでスキルを使った理由は、職業固有のスキルを使うとそのスキルのレベルが上がるんだとか。

だけどそのレベルはマスクデータだから見えることはないけど。

そして、一定のレベルになると強化されるんだってさ。(ゆっくり情報)


スキルを使ったのちにゴリゴリとすり潰していくと、少しポワポワした光が纏われる。

これがバフがかかった証らしい。


今回は緑色だったが、色によって効果が違うんだとか。

赤は攻撃バフ、青は魔法バフ、緑は回復バフ、紫は状態異常バフ、黒は呪いらしい。

難しいが覚えていく必要があるな。


すり潰していくとミントのような香りがしてくる。

そのような香りが出てきたら水を入れて馴染むまで混ぜる。


それで作った汁の上澄を瓶に入れると完成!


「これで完成、かな?」

さっきまで緑色の汁だったのが紫色のポーションが出来上がった。

中身もドロドロしたグロい姿になっているし……。失敗したのかな……?


手応えはあったんだけどなぁ……? わからないからおばちゃんに持っていってみるか。

使い終わったものは全部インベントリに入れておく。


「すみません、なんかポーション作ったらこんな見た目になっちゃって……」

「見せてくれる?」


「はい、これなんですけど……」

おばちゃんに毒々しいポーションをじっくりとみるとギョッとした顔をみせ、慌て始める。

「少しいいかい。あんた裏職業だったりするかい?」

「え、まぁそうですけど……なんか問題でしたか?」


「このポーションが少し珍しいもんでね」

そして紙に何かを書き始めるおばちゃん。

そして見せてきたのはポーションの効能が書かれた紙。


「普通のポーションってのはバフがついても回復効果は良くて回復量が二倍なんだけども、あんたのポーションは八倍のバフが乗ってるんだよ」

「そんな珍しいことが起きたんですか?」


「同じ効果は一個までしかつけられないんだ。だけど例外がある、それは裏職業のバフだ」

おばちゃんが言うには、通常のバフは一種類で一個まで。

だけど裏職業の同じバフは名前が一緒でも別種としてされるんだとか。

つまりは通常の回復バフ二倍に裏職業の回復バフ二倍。そして【料理の心】の効果で裏職業のバフはさらに二倍される。


結果、二倍×二倍×二倍=八倍という馬鹿げたバフ効果量になるんだとか。

このポーションは下級ポーションという種類で、コモンだと大体HPが30ポイントくらい回復するらしい。

これはレア度がAレアで回復量は脅威の320ポイントらしい。


大体300ポイント回復するのは中級ポーションのレア程度の回復量なんだってさ。

見た目は悪くても効果の高さから買う人は絶対いるそうだ。




我ながらヤバいことが起きてしまったようだった。


==========

読んでいただきありがとうございます。


面白ければ★★★、面白くなければ★。


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