天使の休息<詩集>

ありもと優

第1話 ひとひらの静寂





がんばって

無理をしなくても

ひとつ休みをいれて

少し眠ろう



私たちの後ろめたさは

生きている限り続く

自分に

相手に

いつも危険な矢を

向けている

気狂いじみた思考

身震いする感情

一歩踏み出せば

それは表裏の錯覚にすぎない



言葉を

証明庫のように取り扱っても

なにも残らない

残酷な紙きれの山が

積み上がるだけだ



そんな部屋は

必要ない



はじまりを感じたのは

強烈な涙の後だったから




私が解き放たれたものと

あなたが選んだ色彩は

深部のそこで

手を繋ぐことができた



形なきものゆえに

胸の内に照らされている

私の腕や足

あなたの瞳や手のひらから

その熱は放出されている



確かな時間が

ここにはあった



私は優しい心で いま在る

あなたは微笑んでいるだろうか



また どこかで出逢ったときは

もうひとつの話をしよう










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