『レッド・キング★狙われた赤い星』(1989年/アメリカ)
Red King, White Knight
監督 ジョフ・マーフィ
脚本 ロン・ハッチンソン
出演 トム・スケリット、マックス・フォン・シドー、ヘレン・ミレン
ソ連国内で進行するゴルバチョフ暗殺計画。その情報を掴んだCIAは情報提供者が信頼に足る人物かを探るため、元工作員ストーナーを現地に送り込むが……。
ペレストロイカ真っ只中の1989年に作られたスパイ映画……じゃなくてテレビムービー。
製作には『ゲーム・オブ・スローンズ』などで知られるHBOが関わっており、ハンガリーで大掛かりなロケを敢行。一方、アメリカ国内のシークエンスは分かりやすいまでのまとめ撮りで、このへんはテレビムービーって感じだが、逆に現地で体を張る主人公たちとオフィスや会議室で机上の空論を重ねるお偉方との対比にもなっている。
題材が題材だけに時代性を強く感じさせるが、描かれるのは、そこからハズれた者たちによる諜報戦。
改革によって閑職に追いやられようとしているKGB高官は書記長暗殺によって復権を図り、妻の自殺によりCIAを辞めた主人公はソ連への直接的な関与を避けたい当局の思惑により、半ば強引に現地へ送り込まれる。
目的や理由は違えど、一線からハズれたからといって、カタギになることすら許されない工作員たちの姿は悲哀を感じさせる。
監督のジョフ・マーフィはニュージーランド出身で、本国で撮った作品が評価され、1990年の『ヤングガン2』でハリウッドに進出した人物。しかし、その後はパッとせず、スティーヴン・セガール主演の『暴走特急』(95)が代表作か。
本作では、ブラインドから差し込む光を効果的に使った演出や空港内でのチェイスシーンで人物を追い続けるカメラワークなど、凝った画を見せてくれる。
そして、最も冴えを見せるのはクライマックス。暗殺する側、される側、そして、阻止する側の三つ巴の攻防を巧みに繋いだ編集が実にスリリング。そして、訪れる非情なラスト……。
ここから映像は空撮に切り替わり、エンドロールとなるが、肉薄したクライマックスから一転して、現場を俯瞰して見せた時の光景が衝撃的!!
VHSでリリースされただけのまったく知られていない作品だが、埋もれさせるには惜しい。
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