月明かりの宿命

@MOYOHA

第1話 プロローグ 捨てられた双子

 雨が三日三晩続いた。この街では珍しいことではないがいつもより人通りは少なかった。あやかしの名門、紫雲の家の大きな門の前にその夜、双子が捨てられた。会合で遅くなった家の主人が夜遅くに戻るとそれに合わせたように泣き始めた緑のおくるみの赤子とずっと微笑んでいる青のおくるみの赤子。本来捨て子は国に届けなければならないが豪気な主人は双子を不憫に思って引き取ることを決めた。籠の中に入ってた手紙にはこう書いてあった。

ー翠月のことをよろしくお願いしますー

 その手紙の通り、青のおくるみの女の子はすい、緑のおくるみの男の子はつきと名付けられ、紫雲家で育てられた。


 紫雲家の奥方はおおらかな人で先に生まれていた自分の長男と双子を一緒に育てた。はたから見れば三つ子かと思うぐらい3人は仲良く育っていった。双子が8つになった時、奥方が流行病で亡くなり、後妻に入った人は双子を良しとしなかった。それまで実子のように育てられていたがけじめがつかないからとすぐ奉公人の部屋に移らされた。その後、すぐ女の子が生まれ月は長男の側仕えとして、翠は女の子の乳母の手伝いとして働くことになった。











 

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